Fortunella japonica_ Campus Plants

キンカン / 金柑


Rutaceae / ミカン科
decorated by momi, photo by mich.katz


ミカン科の常緑低木(樹高2mほど)。もともとはミカン属に属していましたが、他の種(品種)と比べて子房の室数が少ない(多い?)点、葉脈が不明瞭である点や、葉に精油成分が含まれる点から、今では独立したキンカン属として分類されています。


日本にキンカンが伝わったのは、江戸時代1826年(文政9年)であると言われています。清の逝江省寧波からの商船が遠州灘で遭難し、近くの清水港(静岡県)に寄港したときのこと。船員が、世話になった地元の名主、柴田権左衛門にお礼としてキンカンの砂糖漬けを渡し、権左衛門がその種を庭に播いて育てたことが始まりだそうです。


現在では主に、和歌山、高知、宮崎など、比較的温暖な地域で生産が盛んです。刈り込みにも良く耐え、栽培しやすいので、庭木として利用されることもしばしばです。


かくいう私の実家にもキンカンがあり、毎年、実のシロップ漬けを食べていました。この他、甘露煮や、ホワイトリカーに漬けた(500gのキンカンホワイトリカー1.8l、氷砂糖200gを2ヶ月以上漬け込む)金柑酒として楽しむことができます。


果実はビタミンCを豊富に含み、疲労回復や、咳や喉の痛みを伴った風邪に効く民間薬として利用されます。生薬名は「金橘(きんきつ)」です。


ところでキンカンは、年に3回も花を咲かせることができます。その花を利用するのは人間でなく昆虫たち。私の調査では、花が最も多い夏(7月頃)には、ミツバチからアゲハチョウまでなんと17種もの昆虫たちが訪花し、嬉しそうに花粉や蜜を集めていました。


私たち人間を含むたくさんの動物がこの植物のお世話になっているということですね。


by momi

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