みそ汁と新聞カフェ


今朝は6時に家を出て、いつもなら素通りする天神北で都市高速を降り、コインパーキングに車を停めた。


まだ薄暗い天神は、人も車も、まばら。


夜が浄化した冷たい空気に満たされる渡辺通を早歩きで南下し、エルガーラ1階に入る。


あさげの香りが漂うカウンターに並び、500円と引き換えに、玄米ご飯のおにぎりと温かいみそ汁、それに、朝刊を受けとった。


私も含め10名ほどの人たちが、テーブルについて新聞を読みながら、みそ汁をすすり、おにぎりをほおばるという、現代日本人の暮らしからずいぶん縁遠くなりつつある朝食風景が、なぜか天神のど真ん中で繰り広げられている。


店内(?)には、知った顔がチラホラ。


夫婦で駆けつけた稲益先生と他愛のないおしゃべり。


堀米さんと二島さんは、せっせと味噌玉ワークショップの準備中。


吉田くんは、まわし読み新聞を取り仕切る。


少し遅れてきた安武さん親子が、味噌玉に使う鰹節を削りはじめたが、削り器の刃こぼれのせいか、スムーズに削れず悪戦苦闘している。


それを見た私も、持参したマイ削り器でお手伝い。


その後、堀米さんと二島さんにおしゃれな味噌玉の作り方を伝授して頂いた。


うわさの「みそ汁と新聞カフェ」は、どこか懐かしく、それでいて、知恵や情報を分かち合える有意義な空間だった。


https://www.facebook.com/mich.katz1965/posts/939126099501560?pnref=story

生活習慣病予防は学生時代から〜青学大、フィットネス施設/九大、授業「自炊塾」で単位(2015/12/21付日本経済新聞朝刊)

 生活習慣病に今のうちから備えて――。学生にそんな働きかけをする大学が増えている。運動施設を開いたり、病気について教える講座を設けるなど方法はさまざま。大学時代は親の管理下を離れることで食事や睡眠など生活全般が不規則になりがちで、生活習慣病の下地が生まれる時期。中高年からの病気と高をくくらず、健康的な生活で自己管理に努めたい。

(中略)

 食育の観点で生活習慣病を予防する取り組みも出てきた。

 九州大学(福岡市)は単位として認められる授業「自炊塾」を2年前に開講し、人気を集める。コンビニ弁当や外食に頼らず、自炊する能力を身に付けて自らの体調を管理することを目指す。栄養から食費、日本の食文化まで、食に関する様々な分野を実践的に学ぶ。

 担当の比良松道一准教授は大学生の食生活を研究する過程で「放っておけない」と感じ、この授業を始めた。料理研究家らの調理実演を重視。「レシピはネットにいくらでも載っているが、料理体験がないため作れない学生は多い。スポーツと同様、実際に実演する姿を見ることでイメージしてほしい」と説く。

 学生からも「受講を通じて自らの健康が劇的に変わった」などの声が寄せられる。「味噌汁を毎日手作りし、食べるようアドバイスをしたら、お通じや肌荒れが改善したという声もあった」(比良松准教授)

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO95322040Y5A211C1TCP000/

TV番組出演依頼


本日は、久留米市内の小学校で6年生に「いのちの授業」。


終了後、みんなで記念撮影。そしたら「握手も」と言われて、一列に並んだ生徒一人一人に握手会。


本職は、大学教員もしくは研究者であって、芸能人じゃないんだけど・・・


なんて考えていたら、地元TV局からの出演オファーが突然舞い込んだ(http://rkb.jp/genki/)。有り難いお話なので引き受けたけど、どうなることやら。


夕刻、宗像市役所において、「自炊塾」プログラムを人材育成事業として活用し、まちづくりにつなげるための商品としてパッケージ化することも視野にいれながら、来年度の助成事業に関する打ち合わせをした。こういうディスカッションは生産的で楽しい。


あと1ヶ月あまりで3年目を終える九大「自炊塾」。


来年は、将来を見据えて、ビジネス面を強化する年になる予感。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=937300039684166&set=a.144635775617267.36922.100002125374162&type=3&theater

中村哲先生の生きるための戦い


昨夜、妻が「涙が出て来る」と紹介してくれた中村哲先生のメッセージ。

生きるための戦い


私たちが掲げるのは、生きるための戦いです。巷でテロや空爆、難民の噂が絶えませんが、私たちは「対テロ戦争」などという、おぞましい戦列には加わりません。それこそが果てしない暴力の応酬を生み出してきたからです。


水が善人・悪人を区別しないように、誰とでも協力し、世界がどうなろうと、他所に逃れないようのない人々が人間らしく生きられるよう、ここで力を尽くします。内外で暗い争いが頻発する今でこそ、この灯りを絶やしてはならぬと思います。


今年もいろんなことがありましたが、変わらぬ温かい祈りと支援に支えられ、現地は希望をもって歩んでいます。困難な事情にもかかわらず、ここまでこらたことを感謝します。日本も大変ですが、どうぞ工事の成功をお祈り下さい。


良いクリスマスと正月をお迎えください。


二〇一五年十二月 ジャララバードにて
ペシャワール会報No.126より)


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=932313700182800&set=a.144635775617267.36922.100002125374162&type=3&theater

図書館のウェルカムボード

大学でやっている教育が身内から評価される機会は、研究に比べるとそう多くはありません。

そうした中、学内中央図書館(箱崎キャンパス)の入口に設置されたウェルカムボードに、西日本新聞に連載中の「食の力〜みそ汁を味わう」の切り抜きと共に九大「自炊塾」(今期だけ「いのちの授業」に名称変更)を紹介して頂いたことは、たいへんありがたいことです。

ボードにある学生へのお勧めの本には、私の人生を変えた本

「花の性」矢原徹一著(東京大学出版会

花の性―その進化を探る (Natural History)

花の性―その進化を探る (Natural History)

「食卓の向こう側」1〜13部 食卓の向こう側取材班(西日本新聞社
食卓の向こう側〈1〉 (西日本新聞ブックレット)

食卓の向こう側〈1〉 (西日本新聞ブックレット)

「弁当の日がやってきた」竹下和男著(自然食通信社)

を推薦させて頂きました。

一人でも多くの学生たちや職員たちが、みそ汁や手料理を実生活に取り入れてくだされば幸いです。

【食の力】みそ汁を味わう<5>「おいしい」記憶が絆

幼い頃の食が、未来の生き方に対して如何に大きな影響を及ぼすか。

西日本新聞に連載中の「食の力〜みそ汁を味わう」の最終回は、今の決断科学大学院プログラムに転職して出会った大学院生 竹内 太郎 くんを主人公として、そういう大切なことがよく伝わってくる内容でした。

【食の力】みそ汁を味わう<5完>「おいしい」記憶が絆
2015年12月05日13時50分 (更新 12月05日 13時51分)

 「材料にパプリカを使うと、もてるよ。経験はないけど」。笑いを誘いつつ進める授業は、題して「タローくんの調理実演」。九州大(福岡市)の少人数セミナー「自炊塾」の受講生がシメジとパプリカの和風あえ、きんぴらごぼう、昆布といりこのつくだ煮などの作り方に耳を傾ける。

 自在に包丁や鍋を操るのは、自炊塾を補佐する竹内太郎さん(27)。日本近代思想史を研究する大学院生だ。塾の指導教官、比良松道一准教授が、自炊歴8年の竹内さんをこの日の講師に指名した。

 「煮物は冷めながら味が染みていくから少し薄めに」「量が少ないときは落としぶた。アルミ箔(はく)で十分です」。ポイント説明も小気味よい。野菜作りの話題に移り「ホウレンソウはベランダで作れます」と言うと「えーっ」と驚きの声が上がった。

 § §

 竹内さんには、つらいことがあると自然に足が向く場所がある。福岡県嘉麻市の実家近くに住む「おばちゃん」の家庭菜園。ダイコン、ホウレンソウ、ミズナ、カボスなど季節の野菜や果物があふれる。「あら、帰って来とったと」と笑顔で迎えてくれる大塚暁子さん(68)の言葉に触れる。「間引きはきちんと。間引いた野菜は軟らかくておいしいからみそ汁に入れなさい」。何でも無駄なく、自然と共に暮らす生き方がいつも格好良い。

 実家の家事をおばちゃんが手伝うようになったのは竹内さんが1歳のころ。手を引いて、近所の公園に遊びに連れて行ってもらったりした。お節用の煮しめは、昆布巻きやねじりこんにゃくを一緒に仕込む。つまみ食いがおいしかった。食は細かったけれど、おばちゃんのかしわご飯はおかわりした。

 父親の顔を知らず、祖母は病気で入退院を繰り返す。家族を失うのが怖かった。そんな少年の心を、おばちゃんの温かな料理が癒やしてくれた。

 大学入学後、プリンやだんごなど甘い物が食事代わりになった。体調を崩し、低血糖症の診断を受ける。「こんなことになって申し訳ない。きちんと育ててもらったのに」。家計を支える母や父親代わりの祖父、そしておばちゃんの顔が浮かんだ。

 自炊を始め、実家に戻ってはおばちゃんを訪ねた。選ぶ野菜は地元産、調味料は無添加を、だしは昆布とあごとかつお節で…。全て教わった。

 ある日、おばちゃん宅でみそ汁をいただいた。信州の熟成みそは、だしとの絡みが全く違う。自分の中に「革命」が起きた。

 こうじの「奥深い世界」にはまり、ぬか漬けや甘酒、みそ造りも始めた。現在、食べているのは6月に仕込んだ分。まだ塩辛い。そのうちこうじが醸す甘さと深みも出てくる。「みそ汁は、先人の知恵が培ってきた和食の全てが詰まった料理。今は好みの味を探っている段階です」

 今夏、食の研究に行った山形県で老舗こうじ蔵のみそ店を訪れた。みそを仕込み、おばちゃん宅に送った。間もなく半年、一緒に食べるのが待ち遠しい。

 § §

 生まれ育った炭鉱の町は「食の都」でもある。死と隣り合わせの炭鉱労働者は命を慰めるために食にお金をつぎ込んだ。「おいしい」が「幸せ」だった。

 自分の「おいしい」も古里に帰る。おばちゃんの料理が恋しい。そのおかげで、温かい心と古里との絆を持てた。「味は知識よりも深いところに残っている。食の記憶は裏切らない」

 ベランダ栽培はこれからミズナの季節。若くて軟らかな葉を摘み取って鍋に入れる。やっぱりおばちゃんのやり方で、みそ汁を味わう。

 =おわり

 ▼みそ汁と新聞カフェ 「朝の習慣」再構築キャンペーンの一環。7〜25日の平日(14日を除く)午前7〜8時半、福岡市・天神のエルガーラビル1階に開設します。日替わりみそ汁とおにぎり、朝刊1部のセットを500円(税込み)で販売。持ち帰りも可。


=2015/12/05付 西日本新聞朝刊=

http://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/211224

この回の授業は、「自炊塾」の1コマ全てを学生にまかせてみるという、挑戦的な試みでもありました。どんな聴衆でも伝わる話術を、実践を通じて身に付けてもらい、次世代へバトンを渡すことができる人になって欲しいという想いからです。

5回にわたる連載を通じて、九大「自炊塾」受講生の奮闘ぶりが紹介されていますが、実は、授業の実際の様子が公開されるのは、この度の記事が初めてです。(門外不出というわけではなく、これまでに説明させていただく機会がほとんどなかっただけです。)

毎週の授業に足を運び、学生たちに張り付いてステキな成長物語を描いてくださった、西日本新聞の 藤崎 眞二 記者に改めて感謝申し上げます。