Prunus japonica _ Campus Plants

ニワウメ / 庭梅


Rosaceae / バラ科
decorated by simon, photo by mich.katz

原産地は中国.日本には江戸時代に渡来したといいます.高さ約1−2mの小低木です.庭に植えて楽しめること,梅のような花をつけることから,「ニワウメ」と名付けられました.


4月の始め頃,葉に先立って淡紅色の花を咲かせます(写真).そして,7月頃には,1cm程の濃紅色の果実を付けます(http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/niwaume.html).この果実は,やや甘みがあり,食べることができます.さらに,完熟果実を乾燥させたものは,郁李仁(いくりにん)と呼ばれ,薬用として用いられているようです(利尿などの効果があります).


「夏まけて 先たるねはず 久方の 雨打ち降らば うつろひなむか」


これは,万葉集のとある1首.
「夏になって,待ちに待ったねはず(ニワウメ)の花が咲いた.しかし,(今にも雨が降り出しそうなので),雨が降ったら,この花は散ってしまうのだろうか.」
そんな想いを,詠んだ歌です.


この歌の作者は『大伴家持』.約4500首で構成されている万葉集ですが,その約1割の歌(453首)は彼の作品です.この歌は,大伴家持が15−20歳の頃,詠んだ歌だと言われています.15歳の青年が,ニワウメを愛でながら歌を詠んでいるシーンを想像できるでしょうか?この時期に花を愛でる習慣をもつ我々ですが,その習慣は古くは万葉集の時代にまで遡るということです.さらに,当時から我々日本人は,美しく咲いた桜や梅の花が,雨で散ってしまうのを案じていた,ということもわかりますね.


ここ福岡でも,桜の花がどんどん開花しています.地域によって多少の差はありますが,開花具合は「咲き始め」〜「5部咲き」くらいです.お花見に行くなら,今週末が最も奇麗な時期かもしれません.今年の桜も,早々に雨で散ってしまうのではなく,美しい姿をより長く私達に見せてくれると嬉しいですね.
by simon & snow.

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