日の丸の呪縛 _ 第3話 _ 呪縛解放のための必修テクニック「フォーカスロック」

写真のモチーフ以外の部分に配慮しながら,モチーフ部分を写真のど真ん中以外に据えるような撮影をする際,必要となるテクニックがある.モチーフを,焦点(ピント)が正確に合った状態を保持したまま中心以外にずらす技術.すなわち「フォーカスロック」である.これが出来ない人が意外に多いので,注意されたい.
おそらく,すべてのデジタルカメラは自動でピント合わせをするオートフォーカス(AF)機能を備えている.それなのに,ピント合わせに失敗するのは,オートフォーカスの仕組みを理解していないからである.
オートフォーカスは,シャッターボタンを浅く押した「半押し」状態のときに働く.この時,ほとんどのカメラは,緑色のランプが点灯するなどピント合わせが完了したことを知らせる機能を備えている.しかし,その後,指を離して半押し状態を解除すると,一度合ったピントは解除される.したがって,ピントを合わせたまま,モチーフ部分を中心以外へ移動するには,半押し状態を保持したまま,カメラレンズを少しだけ希望する方向へ移動しなければならない.この技術をマスターするだけでピンぼけの失敗撮影は激減するはず.
例として,メキシコで買ったマリアッチ人形を使って説明する.
P4
P5
P4の様な構図で撮りたい場合,P5の様にまず,モチーフ部分のマリアッチの顔をファインダーのピント合わせする中心部分に置き,半押しする.合焦表示(緑色のランプの点灯など)を確認したら,半押しを保持したまま,カメラ本体からモチーフ中心部までの距離が変わらないように(カメラ本体の縦横の中心軸を固定して回転させるようなイメージで)注意しながら,ゆっくりとP4の構図になるように動かす.構図が決まったら指を離さずにそのままシャッターボタンをさらに押し込む.もちろん,カメラは動かさない様に注意して.
もし,保持したつもりのフォーカスロックが途中で解除されると,最終構図の中心部分にピントが自動的に合ってしまう.その結果, P6のように,ピントを合わせたはずのマリアッチの顔にはもはやピントは合わず,背後の戸棚にピントが合ってしまっている.これでは撮影失敗である.
P6
この失敗は,二人並んだスナップ写真を撮影する場合にもよく起こる.左右どちらかの人物の顔でフォーカスロックせずに(できずに)撮影した結果,二人の間の背景にピントが合ってしまい,肝心の人物にピントが合っていないという失敗である.せっかくの記念写真がピンぼけならないようにされたい.