長寿の秘訣

とは・・・
日本人の平均寿命は80.0歳(女84.6,男77.7)歳.この世界一の長寿は,高度な医療技術と老人福祉によって支えられているという見方もできるが,ナショナルジオグラフィック2005年11月号*1に紹介されている「長寿の極意」では,人の「生き方」にあると強調する.
平均86.0歳と日本でもっとも長生きする沖縄県女性の長生きの秘訣は,生涯にわたる友人をもつ,腹八分目,生きがいをもつ,禁煙,家族を大切に,活動的に暮らす,人と付き合う,果物,野菜を食べる.
食生活に関する事項よりも,人との付き合いに関する事項が多いのが面白い.私は,テッポウユリの研究のために琉球の島々を旅して回ったが,確かに,島の女性は気さくな雰囲気を持っているし,働き者で元気がよいと感じることが多かった.
しかし,沖縄県の男性寿命は全国平均を下回っており,女性の平均寿命伸び率も全国最低レベルになるなど,沖縄県の長寿神話にはかげりが見え始めている.その要因の一つとして考えられているのが,肥満者の割合が最も高いこと.ハンバーガーに代表されるアメリカンスタイルの食生活が日本で最も早く浸透したことがその背景にあるとされる.
一方,近年長寿県として注目されるのが,男性トップの寿命78.9歳を誇る長野県.この県では女性も85.3歳で3位と,男女共に長生きだ.その秘訣は農業.長野県では高齢者の就業率が非常に高く,65歳以上の3割が農業に携わっているという.
作物や家畜に愛情を注いで育て,生活の糧を得ることは何ものにも代え難い生きがいとなる.近隣との積極的な恊働作業や円滑なコミュニケーションがなければ農業経営は持続しない.そういう意味では,長野県のお年寄りの生き方は,沖縄県女性の生き方と共通するものがあると思う.
これからの農業のあり方が日本人の寿命を左右するのかもしれない.