児童誘拐・殺害事件

について思うこと


広島,栃木と立て続けに起こった小学生の誘拐・殺害事件.同じ小学生の子供を持つ親としてなんともやり場のない怒りと悲しさを感じる事件だった.
先日出席した学童保育所の理事会では,最近,私の住む地域でも不審者が登下校中の小中学生に声を掛けるということが数件あったことが報告され,広島や栃木のような悲惨な事件が起こらないようにしなければとの声が多く聞かれた.特に我々のような子供をいつでも送り迎えできない共働き家庭や父子・母子家庭にとっては深刻な問題だ.


では,どんな具体策を立てれば良いのだろう?
どんなことを言われても知らない人の車には絶対乗ってはいけないと教えることはそう難しくはないが,言葉巧みに誘う不審者に対して小学生が皆それを実践できるという保証はない.
子供に防犯ベルを持たせたり,不審者の特徴や車のナンバーを覚えるように指導することはできるかもしれないが,これもあくまでも予防対策のひとつ.
登下校はなるべく一緒にと指導しても,先日の栃木の事件のように,子供を付け狙う人間は,周到に下調べをし,友達と分かれて一人になったところを狙う.子供を一人で歩かせない,という基本的環境を作ることが,共働き家庭や父子・母子家庭であるほど難しくなる.
やはり,家族だけで解決できる問題ではないことは明らかだ.


保育所の開設時間をもう少し長くすることはできないのですか?」


学童保育の父母会などでいつも出てくる意見だ.
私の地域の学童保育所の開設時間は,現在のところ,授業終了時から午後6時半まで.土曜は午前8時半から午後5時まで.これは県下の他の地域と比べると最も充実した方のサービスである.(福岡市内だと平日は午後5時半までと,1時間も短かい.)それでも要望があるのは,たった30分だけでも開設時間を延長をするだけで仕事と子供の送り迎えを両立できると考える親が多いからである.広島と栃木のような事件を受けてその想いは切実である.


しかしながら,とても安い賃金で働き,最低限の人数の指導員(保育士に当たる人)によって運営され,この先,公的資金の増加があまり見込めない学童保事業にとって,わずか30分延長するための人件費や指導員を確保することが非常に難しいのである.
国は,三位一体改革ですべての補助金を廃止するというが,特別会計として出されてきた全国の学童保育補助金も例外ではないとされ,先行きが不透明である.様々な補助金をカットされて財政的に切迫してくると見込む地方自治体は,すべての行政サービスに対して予算削減を考えており,地域の様々な福祉への影響が懸念される.学童保育も例外でなく,子供が多すぎて施設や指導員が足りないのであれば,法律上認めていない4年生以上の受け入れをしないようにと,耳を疑うような要望が行政側から出されたりもする.
私には,学童保育を取り巻く環境の善し悪しが,社会全体の善し悪しを左右しているように感じてならない.子育ては国育てということではないだろうか.