子供の保育料っていくら?(その2)

長女が保育園を卒園し小学校へ入学するときの不安は今でもよく思い出す.
それは,小学校で過ごす時間のことではない.放課後の時間への心配だった.


私も妻も職場まで約1時間の通勤距離.残業せずに仕事を終えて帰宅しても午後6時前に子供を迎えにいくことはできない.それまでに子供を預かってくれる場所があるのだろうか.子供に鍵を持たせて,自宅で一人で留守番させなければならないのだろうか.そんな不安である.


そんな時,出会ったのが学童保育所だった.午後6時半まで預かってくれるという.なんとか子供を一人にせずにすみそうで,とりあえず不安の一部は解消された.


気になる保育料は6,500円.それまでの保育料と比較にならないほど安いこの額を聞いた時には,それでちゃんと子供を見てくれるのだろうかと不安になった.しかしその不安は見事に裏切られた.6歳以下の子供を預かる保育園に比べてはるかに安い保育料,不十分な労働力,職員の給与と保証,施設環境にもかかわらず,指導員(保育所の先生)の子供へ向けるまなざしはとても優しく真剣である.頭が下がる.そして指導員を一生懸命支える親たち.


保育園時代のように子供達は朝から晩まで学童保育所にいるわけでなく,自立してできることが多くなるので,その分,学童保育の保育料は安くなるのは当然ともとれる.しかし,あまり知られていない事実だが,子供達の小学校で過ごす時間よりも学童保育所で過ごす時間の方が年間500時間も長い.その反面,小学校の運営に対する公的補助に比べると,学童保育事業に対する公的補助は非常に小さく,保育をとりまく環境は不十分である.保育所の指導員の平均年収は150万円未満.退職金も社会保険育児休業も保証されていない指導員がたくさんいる.児童一人当たりの床面積が1畳にも満たない施設は当たり前.そんな心もとない条件で私たちの育児が支えられている.


今、日本の全人口における高齢者比率が増加し,働き盛りの世代の老人福祉に対する経済的負担が増えようとしている.そうなると育児の経済的負担に耐えられず,子供を安心してもうけることができなくなる.そして将来の働き盛りの高齢者を支えるための負担がさらに増える.この悪循環を抜け出すにはどうすればよいのか.どうにかして流れを逆にできないだろうか.安心して子供をもうけ,元気に働くお母さんやお父さんが増えればきっとこの国は良くなる.