My Sweets _ The Background
枯れそうなチューリップを・・・
浮き立たせる 背景
主役を引き立たせる 脇役
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「「一日一植物」の写真はどこで撮っているのですか?
一輪挿しの植物を奇麗に撮影する特別な場所が職場にあるのですか?」
最近,このブログを見てくださる人からそう聞かれることがよくあります.昨夜も学生さんからそう聞かれました.
私はプロの写真家ではないので,撮影技術を秘密にする必要もありませんから,そのタネ(というほどおおげさなものではないですが)を聞かれた人には素直に明かします.
「一日一植物」の写真は研究室内で撮影することがほとんどです.場所は二カ所.ひとつはセミナー室のメインテーブル,もうひとつは事務所の事務机の上.
セミナー室のテーブル上面は光沢塗装された木目調デザインで,その色はのダークブラウン.北側窓から差し込む斜めの自然光が卓上面で反射し,窓側から部屋の奥に向けて白から黒のグラデーションが出来ます.グラデーションの濃淡が机の位置によって変わることを利用すれば
- 2/6のスイフヨウ(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060206),
- 1/25のホルトノキ(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060125),
- 1/19のスイセン(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060119)
のようにいろいろな背景を作り出すことが簡単に出来ます.スイセンの写真のように机の縁を背景のアクセントとして少し入れることも効果的です.
またこの部屋には黒板があるのでそれも背景として利用しています.
- 2/2のガザニア(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060202)や
- 2/5のサルトリイバラ(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060205)
がそれです.黒板に反射する蛍光灯の光を適当な位置に取り入れると卓上とは異なる色合いのグラデーションが得られます.
事務机の上では背景を邪魔する様々なものを取り除くために,クリアーファイルの黒の背表紙をつい立てにのように立てて背景を作っています.プラスティック製の背表紙も光の当て方を工夫すればグラデーションが生じます.照明には蛍光灯電気スタンド.
- 2/8のネズミモチ(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060208),
- 2/9のナギ(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060209)
がその例です.セミナー室の机の表面よりも軽いグラデーションといったところでしょうか.黒一色のモノトーンにすることも可能です.
あきえさんがコメント欄に書き込んでくださった質問に答えましょう(最近なかなか会えないので).
は研究室ではなく我が家のリビングで撮影しました.ヘクソカズラは竹で編んだ籠に巻き付けています.レースのカーテン越しに窓から入る柔らかい逆光を適度な角度で当てると,ヘクソカズラの細いツルが消え(飛び)ます.このことを利用して,宙に浮くイメージをつくりました.背景のグラデーションは窓面と壁面の違いで生じています.
さて今日の写真.我が家のダイニングテーブル表面の反射グラデーションを背景に使いました.花びらがシワシワになり,葉の先端が黄色くなりはじめたチューリップが美しくみえますか?
「一日一植物(Campus Plants)」の植物たちは主役.その主役を引き立たせる背景は脇役.映画の出来が主役と脇役のキャスティングや演技で変わるように,写真から受ける印象も主役と脇役の配置やバランスでかなり変わります.
そして主役と脇役のコラボレーションを操るのは監督である撮影者です.