Campus Plants _ Hamamelis mollis

シナマンサク / 支那満作


Hamamelidaceae / マンサク科
decorated by gucci & mae, photo by mich.katz


しわの寄った黄色いのが花びら.まるでパーティーで使うクラッカーから黄色いリボンが飛び出したようです.


よくみると一つの花に4枚の花弁があり,その花が群れて咲く様子は,花が少ないこの時期,人目を引きます.この花をみて春が近づいたことを感じる方が多いようです.


和名「マンサク」の由来にはいくつかの説があり,枝いっぱいに花が咲くその様子から「満作」と名がついたとか,早春の花の少ない季節に咲くから「まず咲く」→「まんず,咲く(東北弁?)」→「マンサク」になったとか.


支那」とは中国の古い呼び名で,中国南部原産です.日本に自生するマンサクと区別するためにその名があります.日本のマンサクとの区別は

  • 日本ではマンサクより早く,1月頃から咲き始める
  • 花が咲く頃にも枯れ葉が枝に残っている
  • 花が大きく,甘く強い香りがする

とされています.花が大きく香りがよいシナマンサクは園芸品種としての利用度が高いようです.


マンサクには大切な建築材としての用途もあるのをご存知でしょうか?


それは世界遺産で有名な岐阜県白川郷の合掌造りへの貢献.あの見事な茅葺き屋根の骨組は釘やかすがいをいっさい使用せず,マンサクの枝をひも状に加工した「ネソ」で結合されているそうです*1.ネソは水分を含むときはしなやかで,乾燥すると硬く締まるため,大きな屋根柱と屋根に降り積もる雪の重みを同時に支えるほどの丈夫さがあります.数多くある樹種からマンサクが屋根柱を固定するのに適した材料だと見抜いた先人の知恵には恐れ入ります.


日本のマンサクは北海道西南部から九州にかけて広く分布し,山地林内にみられますが,もともと個体数の少ない地域ではレデドデータ種として指定されることもあります.また,ウラクシジミ*2という希少なシジミチョウの食草になっているため,卵の採集と飼育を目的としたチョウマニアによって大きなマンサクの樹が伐採されるという心ない事件も起こっているようです(http://www.mnet.ne.jp/~seseri/misc/obira041218.htm).


身近な森のマンサクがそこにあり続けるように配慮すること.
合掌造りやウラクシジミを護って行くために「マンサク(まんず先)」にやらねばならないことかもしれません.


by gucci, mae & mich.katz

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