Ilex crenata _ Campus Plants

イヌツゲ(マメツゲ) / 犬柘植(豆柘植)


Aquifoliaceae / モチノキ科
decorated by massun, photo by mich.katz


日本のほぼ全土,朝鮮半島南部に自生する常緑小高木.


2/3に紹介したツゲとは別属ですが,こちらのイヌツゲのことをツゲと思っていらっしゃる方も多いようです.そのため,ツゲのことを区別するためにホンツゲと呼ぶことがあります.形態的には葉の並び方で区別できます.ツゲ(ホンツゲ)は2枚の葉が相対して並ぶ「対生」,イヌツゲは葉が交互に並ぶ「互性」です(2/3日の写真http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060203と比べてください).


枝,葉,果実の変異が多数選抜されており,様々な園芸品種があります(外国のサイトですが興味のある方は→http://www.plantago.nl/plantindex/index.htm のアルファベット「I(アイ)」のIlex属をみてください).今回紹介したのはマメツゲ(「豆柘植」,convexa)という園芸品種で,少し小さめの葉の縁が裏側に巻いているのが特徴です.


イヌツゲは公園などの緑化低木としてたいへんよく用いられます.萌芽力が旺盛で苅込みによく耐えるので,四角,丸など様々な形に刈り込むことができ,時には,動物の形に刈り込まれます.これを「トピアリー」と言います.


トピアリーの歴史は非常に古く,ローマ時代に遡るそうです.その後,トピアリー芸術は幾度となく盛衰を繰り返したそうですが,今日では,英国庭園など,世界各地の庭園に必須のアートとして重要な地位を占めています.欧米でイヌツゲの品種改良が盛んなのはそのためでしょう.


皆さんも試しに「トピアリー」や「Topiary」で検索してみてください.

のようにトピアリーを紹介しているたくさんのサイトがヒットするはずです.


ところで植物名によく使われる「イヌ」とは犬のように「どこにでも居る」とか「役に立たない」という意味があり,イヌツゲの場合は,(ホン)ツゲのように材が役に立たないことを意味するそうです.


しかし,イヌツゲは材として役立たずでも,トピアリーとして現代園芸にしっかり役に立っています.


by massun & mich.katz