Cerastium glomeratum _ Campus Plants
オランダミミナグサ / 和蘭耳菜草
Caryophyllaceae / ナデシコ科
decorated by mae & gucci, photo by mich.katz
春が近づき,少しずつ気温が高くなってきました.キャンパス内の桜の花も,あと数日で満開のようです.しかし,春になると,観賞価値の高い植物がどんどん開花し始めるのと同時に,雑草たちも勢い良く成長してしまいます.
今日ご紹介するのは,そんな春の野草の1つ.オランダミミナグサです.
もうしばらくすると,庭に繁茂した草たちの除草をしなければなりませんね.軍手をはめ,草を握り締めて根こそぎにします.作業中にふと軍手を見ると,たくさん草がくっついていることがあるかもしれません.そんな草の中に,オランダミミナグサが混ざっていることがよくあります.
オランダミミナグサが軍手にくっついてしまうのは,茎全体に軟毛や腺毛が生えているためです.また,オランダミミナグサは,日当たりの良い場所ならどこにでも生え,本州から沖縄まで広く帰化している植物なので,除草作業中によくお目にかかるというわけです.
ミミナグサは,漢字で『耳菜草』と書きます.「オランダミミナグサ」と良く似た植物である「ミミナグサ」は,葉がネズミの耳に似ていること,昔は食用であったことから,『耳菜草』と付けられました.そして,オランダミミナグサは,原産がヨーロッパであることから,『オランダ・・・』という接頭語が付いたようです.
オランダミミナグサを日本で始めて発見したのは,明治末期のこと.発見者は,「日本植物学の父」と言われる植物学者『牧野富太郎』です.
牧野富太郎は,近代植物学の権威とも言われている方.50万点もの標本を作り,その観察記録等から多くの著書を執筆.2500種(新種1000,新変種1500)もの植物の命名を行ったと言われています.(詳しくはこちらをご覧ください.Wikipedia「牧野富太郎」→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A7%E9%87%8E%E5%AF%8C%E5%A4%AA%E9%83%8E)
そんな,牧野富太郎が見つけ出した「オランダミミナグサ」と「ミミナグサ」の違い.あなたは,ご存知ですか?
オランダミミナグサとミミナグサの見分け方のポイントは,2つです.それは,「花弁の長さ」と「茎の色」.花弁とがく片の長さがほぼ同じであれば「ミミナグサ」,がく片が花弁より短ければ「オランダミミナグサ」.さらに,茎の色が紫色を帯びていれば「ミミナグサ」,そうでなければ「オランダミミナグサ」.みなさん,わかりましたか?
細かい違いですね.これを一番初めに発見できる人はそれほど多くないでしょう.牧野富太郎は,それだけ植物に対する熱い情熱を持っておられたのでしょう.
by mae & gucci, snow.