Quercus serrata _ Campus Plants

コナラ / 小楢


Fagaceae / ブナ科
presented by momi , photo by mich.katz


コナラは、クヌギと並んで、雑木林を代表する樹です。
コナラは、かつて、様々な場面でわたしたちの生活に関わってきました。


例えば、木材。薪としてかまどや風呂焚きの燃料として使われていました。また、建築材、家具材、シイタケの原木としても利用されることもありました。葉は集めて堆肥にし、水田の肥料にされたりもしました。


花の後の実はいわゆるドングリです。コナラのドングリは子供たちの身近な遊び道具であるだけでなく、東北地方の山村などでは、ミズナラのドングリとともに、古くは貴重な食料でした*1


わたしにとって懐かしいものを紹介します。今ではすっかり見なくなってしまいましたが、全て木でできた小学校の椅子。これもコナラの木で作られていたと言います*2


現在、小学校の椅子は、金属パイプと合板で作られていて、コナラでできた小学校の椅子は貴重品となました。ネットオークション上ではなんと1万円以上の値がつくこともあります。


また、水田の肥料には化学肥料が使われるようになったので、枯れ葉の堆肥が使われることもほとんどなくなりました。私の祖父の家では、シイタケを裏庭で栽培していましたが、今ではそういう家も少ないでしょう。


こうした例から分かるように、私たちは少しずつ、森の恵みを利用しない生活をするようになりました。


実はこのことが、私たちの知らないところで、日本の森に影響を与えています。


かつてコナラなどの有用な樹木が繰り返し伐採されることによって、雑木林の生態系が維持されてきました。しかし、昔のように人の手が入らなくなったことによって、コナラやクヌギといった落葉樹が優占する森は、今では、常緑樹にとって変わられようとしています。雑木林の生物相が大きく変化し、環境の変化に敏感なかつての雑木林の生き物たちが絶滅の危機へと追いやられています。


重要なことは、多くの人たちがその事実を知らないでいるという現実。


身近にある豊かな自然環境を守るためには、「放置」ではなく、「管理」が必要であるということを、私たちは認識する必要があるのです。


by momi