Coreopsis lanceolata _ Campus Plants

オオキンケイギク / 大金鶏菊


Compositae / キク科


研究室圃場にて派手な黄色花が咲き始めました.


アメリカ原産の多年生草本オオキンケイギクです.明治中期頃に北アメリカより導入されたそうですが,最近は,各地で野生化しているようです.派手な黄色の花は,あたかも人為的に栽培されたかのごとく群れて咲いており,他の雑草の花に比べてかなり目立っています.


近縁種にキンケイギク(C. drummondii )があり,これも園芸植物として日本で栽培されます.オオキンケイギクとは,「筒状花(花の中央部分にある,舌状花弁の無い小花の円状の集まり)」の色が異なる点で区別されます.オオキンケイギクは黄色,キンケイギクは暗紫色.


属名Coreopsisの名はギリシャ語のナンキンムシ(koris)と似る(opsis)の組み合わせに由来します.みなさん.南京虫って分かりますか? ひとの血を吸うこういう→(http://www.eiken.city.nagoya.jp/insect/hemipter/cl.htm)昆虫なのですが,こんな形の果実って言われてもピンとこないですね.一説によると,korisは,カメムシコガネムシなどの昆虫類(英語のbug)を漠然と指すこともあるそうで*1,西洋の分類学者が,なんらかの昆虫に果実を見立てたのでしょう.


和名のキンケイは「金鶏」と書きます.金鶏は,天に棲んでおり,地上の鶏よりも早く鳴く「明けの酉」と言われています.想像上の鳥なので,こちらも花との関連がイメージがしにくいのですが,中国に実在するキンケイ(画像→http://www.warabeneko.com/photo/bird/kinkei.htm)をみてください.どうです? 金色の羽毛の派手な印象は,キンケイギクの花をイメージさせませんか? 和名の命名者はこの鶏の姿を見てキンケイと名付けたのかもしれません.


ところで,オオキンケイギクには「特攻花」という別名もあるそうです.これは,太平洋戦争の終戦が間近に迫った頃,鹿児島の知覧空軍基地から特攻隊が飛び立った際に,基地周辺でこの花がみられ,特攻にまつわる様々な逸話が残されたことに因むとされますが,真偽のほどは分かりません.


いずれにせよ,戦争の教訓を思い起こさせるのに十分なほど,オオキンケイギクの花は印象深いのでしょう.


by simon & mich.katz

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