Lilium brownii var. colchesteri _ Campus Plants

ハカタユリ/ 博多百合


Liliaceae / ユリ科
presented by saru , photo by mich.katz


中国南部原産のユリ科球根類.


和名は,中国の宋より,当時貿易の玄関口であった博多にもたらされたことに因むとされます.しかしながら,国内に現存する個体は非常に少なく,幻のユリとも言われるくらい稀少なユリです.


琉球現列島原産のテッポウユリに近縁ですが,写真の様に淡いクリーム色の花と,先端に向かって幅広となる葉が特徴です.また,花の色は時間が経つに連れて徐々に薄くなり,やがて白色へと色変わりするという,他のユリにはあまり見られない面白い特徴があります.


2年前のことですが,私の研究室で学位を取った韓国の先生が,「韓国の田舎に行けばたくさんある」と教えてくれました.半信半疑で韓国を訪れてみたところ,それは本当でした.


韓国の旧家の庭先では,このユリが,しばしば他の植物に混じって植えられています.栽培しているひとの話では,かつては球根を食料として利用していたそうです.韓国では「唐ユリ」という名で呼ばれます.


一方,日本では,かつて食料目的で栽培されていたという証拠はありませんが,1633年(江戸時代)の俳句集に「はかたゆり」の名が記されていますし,桃山時代に作られた能衣装「茶地百合御所車模様縫箔」にはハカタユリと思われる花が刺繍されており,ハカタユリの日本への伝播がかなり古い時代であることをうかがわせます.


韓国と日本のハカタユリには,どのような関係があるのか?


この疑問に答えるために,私どもの研究室では,韓国のハカタユリと日本のハカタユリのDNA分析を行いました.その成果は,昨年,福岡市主催の「アイランド花どんたく」で公開されました.また,再来月に韓国で開催される国際園芸学会でもその成果が公表される予定です.


by mich.katz

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