Lilium brownii var. colchesteri _ Campus Plants

ハカタユリ/ 博多百合


Liliaceae / ユリ科
photo by mich.katz

和名は,中国の宋より,当時貿易の玄関口であった博多にもたらされたことに因むとされます.しかしながら,国内に現存する個体は非常に少なく,幻のユリとも言われるくらい稀少なユリです.(昨年6月11日の記事http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060611


歴史のロマンを感じさせるその幻のユリが今年も咲いた.クリーム色から白色へと色変わりする花やユリにしては控えめでエレガントな香りが今年も研究室の人を楽しませる.


「その香りを生きているうちに嗅いでみたい」(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20051028


一昨年前,’アイランド花どんたく’で研究室のボスの講演会を聴いたご年配の女性はそう言った.


しかし残念なことに,日本でのハカタユリ保全・普及は難しい.遺伝子型が同じ球根を韓国から導入し,研究室の畑で保存したが,昨年にくらべると開花する個体がかなり少ない.球根が腐っていくのだ.土の種類に気を使ったりしたが,ウィルスに感染したような症状が多発し,成長が思わしくない.昨年,球根を分譲した市の植物園からも「頂いた株がダメになったので,奇麗に開花した株をお借りできないだろうか」と依頼があった.このユリが,日本にわずかしか残されていない訳が分かった気がした.


ハカタユリの良さを残したまま,もっと作りやすいユリはできるだろうか?」


そう思った私は,大学院生のS君の協力を得ながら,様々な栽培容易な近縁種系統との交配を試みた.ハカタユリを交配親にした品種改良は世界的に例がない.


手応えは上々.通常,種間雑種は配偶子稔性が低下し,後代種子を得にくくなるが,現在,私たちが育成している雑種からは次世代が育成できそうだ.雑種には色も香りもある.色素や香りの成分も分析してくれる助っ人も現れた.新しいハカタユリを普及できる希望が出て来た.


研究室のボスは’博多百合’という香水を作ってみたいとも言われた.その言葉が先月,大学ブランドグッズシンポジウムで知った東大の蓮の花の香水’蓮香’とオーバーラップする.


ハカタユリ」「歴史」「保全」「品種改良」「普及」「香水」


キーワードが頭を巡り,ある循環プロジェクトのアイデアが浮かぶ.


なんだか楽しくなってきた.

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