農学教育考 _ My Life

mich_katz2007-09-26



「コンビニでビッグコミックオリジナルを買ってきてくれんね〜」


カミさんにそんなお願いをしてまで読みたかったのは,


魚戸おさむ・画,北原雅紀・脚本「玄米せんせいの弁当箱」


ゴーシ舎長が自身のブログで強力に推薦するものだから,どんなものか気になり,普段はほとんど購入しないコミック週刊誌を久しぶりに買って読んだ.


見開きのタイトルページを見て「あっ!」と思う.


あの星野の棚田だ.田んぼが畑に書き換えられているが,形に特徴のある棚田で,何度も足を運んだことがあるからすぐにわかった.棚田の保存に関わる星野村の方々も,自慢の棚田が全国版の漫画に描かれてさぞ喜んでおられるだろう.


この新連載,西日本新聞の「食卓の向こう側」を漫画化したものと聞いていたので,「美味しんぼ」のように新聞記者が活躍するんだろうかと思っていたら,電車や教室に強烈な匂いを放つヌカ床を持ち込んだりするような,破天荒な大学教師が主人公だった.「なんか私が知る誰かさんとイメージがダブるな〜」なんて思っていたら,その誰かさんは魚戸おさむさんに「あなたは漫画の主人公だ」と言われたらしい.やっぱり……


そんな大学教師像に好感を持ちながら物語を読み進めていくうちに,農学教育とはなんだろうと改めて考えさせられる.


今,大学での農学教育と言えば,農業の面白さを伝えるよりも,研究に必要な基礎知識を伝える方に傾倒しているような気がする.しかし,大部分の卒業生が研究者になるわけではないとう現状を踏まえたうえで,学生に対してどんな農業教育をしていくかは大変重要だ.それは,農学部アイデンティティーに関わる問題だ.玄米せんせいのような,漬け物のつけ方やその中に秘められた奥深い知恵を教えることができる教員が居てこそ,農業の面白さが伝えられるのだと思う.