贈る言葉


河東小学校卒業式。


6年生たちの門出にふさわしい好天。


PTA代表として子供たちへ祝辞を贈った。

河東小学校六年生の皆さん、ならびに、ご家族の皆さま、ご卒業おめでとうございます。この晴れの日を心よりお祝い申し上げます。そして、入学から今日までの六年間、私たちの子どもたちを温かく見守ってくださった校長先生ならびに諸先生方、地域の方々、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。


後ろから見ると、まるでランドセルが足を出して歩いているように見えた一年生の頃が、昨日のことだったかのようです。甘くふわふわしたあの幼い時代はあっと言う間に過ぎ去り、今、心も身体もとても大きく成長した六年生の皆さんが私の目の前に居ます。運動会でライオンキングの演技を披露してくれた皆さんの自信に満ちたたくましい姿に涙したことを思い出します。それほどあの演技は感動的でした。


卒業記念アルバムの文集、それから、卒業証書を受け取る皆さんの傍に映し出された写真で、皆さんの将来の夢を知りました。スポーツ選手、学校や保育園、幼稚園の先生、学者、医者、看護士、介護士、薬剤師、料理人、パティシエ、警察官、美容師、漫画家、公務員、立派な大人、人を笑顔にできる人、など。どれも素敵な夢です。これから皆さんは、きっと、自分の夢が現実となるように一生懸命頑張ることでしょう。


そんな皆さんの夢がいつか叶うことを願い、私がこれまでに関わってきた人たちや仕事から学び、一番大切にしている言葉を贈ります。


それは『持ちつ持たれつ』。


相手の幸せのために頑張り、その結果として、自分が幸せになれる。これが持ちつ持たれつの関係です。花と昆虫。果実と動物。植物とその根を住処とする土の中の菌。クマノミとイソギンチャク。地球上のありとあらゆる生き物はこうした持ちつ持たれつの関係なくしては生きることができません。他の誰にも頼らずたったひとつで生きている命はないのです。それが地球上の生命が四十億年をかけて選んだ生き方です。


私たち人間も例外ではありません。今日、卒業する皆さんがたった一人でここまで成長したわけではないことをどうか忘れないでください。学校の先生、地域の方々、ご両親や親戚、そして学校の仲間達。今日、ここに集まってくださった周りの方々が、あなたを大切に想い、温かく時には厳しく接し、愛情を分けてくださったおかげで今のあなたがあるのです。


これから皆さんの身体はだんだんと大人になっていきます。その身体の成長に心の成長が乗り遅れることがないよう、これからは努力してください。これまでにあなたを支えた人たちにかけてもらったたくさんの愛情を、他の誰かに分けてあげることができるようになってください。


昨日、皆さんは、自分で作ったお弁当を持ち寄って、一緒にお昼ご飯を食べました。早起きをして手間暇かけてこしらえたご飯やおかずを、友達と分かち合って食べている人がたくさんいました。中には、みんなに分けてあげようと、大きな器にたくさんの唐揚げを詰めて来た人もいました。きっと、今まで自分を支えてくれた先生や友達が喜ぶ姿を想像しながら、一生懸命作ったことでしょう。そんな思いやりのある光景を見て、私はとても幸せな気持ちになりました。


誰かが喜ぶ姿を想像して何かを作る。誰かが幸せになれるように協力する。誰かが傷ついてくじけそうになった時は、傍に居てその肩を支えてあげる。そうして繋がった人たちはあなたを喜ばせ、幸せにし、支えてくれるはずです。とても単純なことですが、それが持ちつ持たれつで生きるということです。


十年後、二十年後、皆さんが他の誰かと持ちつ持たれつの関係をたくさん築けたその時、皆さんの夢が叶うと私は信じています。夢が叶った皆さんが、今度は、未来の河東小学校の小学生に持ちつ持たれつの関係をリレーし、彼らを幸せに導いてくれることを心から願いながら、私のお祝いの言葉といたします。


平成二十一年三月十七日     


河東小学校PTA会長 比良松 道一


素敵な大人にな〜れ。