ヤマツツジ絵巻

mich_katz2005-05-08

昨日は,私が企画した環境創造舎のイベント「つつじ絵巻〜ヤマツツジ探しの巻き」で新キャンパスへ.九大1年生5名と舎の学生スタッフ5名,それに今回はお客さん役の舎長夫妻が参加してくれた.
午前中は,生物多様性保全ゾーンの雑木林にあるヤマツツジ群落を探すゲーム.
まず,持参した鉢植えの開花個体をサンプルに,ヤマツツジの植物としての特徴や,今後ヤマツツジを新キャンパスの森林保全活動のシンボルとして活用する趣旨を解説した.
植物のことをあまり知らない人や山歩きに慣れていない人にとって,まだ開花していないヤマツツジを森の中で探し出すのは大変なことだが,群落の所在を知るスタッフのサポートや予め用意した地図と指名手配写真を頼りに2時間程度の探索をした.
ただひたすらヤマツツジを探すだけでは「花がない」と,ゴーシ舎長のアイデアで今回新たに作製・導入した植物ビンゴゲーム「ヤマツツジとゆかいな仲間達ビンゴ」が大いに場を盛り上げてくれた.7×7の升目に植物名がぎっしり並んでおり,発見した植物の列を何列完成することが出来るかを競う.ノアザミ,オドリコソウなどの普通種の中に,コウホネエビネなどレア種が散りばめられ,升目の中心にはヤマツツジが配置されている.ヤマツツジを発見すれば縦横斜めの4列を完成させることが出来る仕組みだ.通常のビンゴゲームより升目の数が多いので,一見すると列を完成させるのは難しいようだが,皆,ひとつでも多くの列を完成させたいという一心で,時間を忘れて植物探しに夢中になった.ゴーシ舎長のアイデアにはいつも感心させられる.
午後は杉林に移植保護されている絶滅危惧種エビネの実物を観察.その後,エビネヤマツツジの指名手配写真を片手に,新キャンパス周辺の集落へ.そこでランダムに民家を訪問し,新キャンパス周辺の山野から採集した植物を庭園や鉢植えで栽培しているかなどの聞き込み調査を行った.これは新企画である.
エビネ等,希少種を保存しているお宅が数件でも見つかれば,くらいの期待でやってみたが,期待以上の情報が得られた.ご年配の方がいらっしゃるお宅では,昔山から取ってきたというエビネやキエビネがしばしば栽培されていた.あるお宅では,庭の梅の木に自然に付いたと言うセッコクを頂いた.希少種でなくても,ヤブツバキ,イロハカエデ,カカツガユ,クロマツ,サンショウ,ウド,ヤブランオニユリなど,山野から採集して栽培れている植物が見られた.
エビネ等ラン類の多くは園芸目的の採集により,絶滅が危惧されるほど野生の個体数が激減しているとされる.新キャンパスで保存されているエビネもわずか4個体だ.しかしながら,古い集落の民家の庭先で栽培されている個体も資源として含めると,意外に多くの個体がまだ残されているかもしれない.今後,こうした野生以外での資源探索も含めて,ヤマツツジエビネなど稀少植物の保全を行っていくことも可能であると実感した.ヤマツツジ絵巻が長く長く伸びる様に是非挑戦してみたい.
追伸:今回の企画は,環境創造舎スタッフの多大なサポートを頂くことにより無事終了することができました.ここに改めてお礼申し上げます.皆さんありがとうございました.