絵本カーニバル

インゴ・ギュンター展の隣で開催された絵本カーニバルでは約1000冊の絵本が読み放題.なかなか体験することのない夢のような企画だ.
会場に入った子供達は思い思いに絵本を手に取って読み始める.

絵本が古い旅行カバンに入れられたり,階段に沿って並べられたりして,絵本に「囲まれている」という雰囲気が会場に漂う.しかも,図書館のように,背表紙が見えるようにして本を本棚に並べるのではなく,一冊一冊の絵本の表紙が見れるようにディスプレイされている.寝っころがれる一人用ソファーなどもあって,くつろぐためのおもてなしも配慮されている.

そんな空間で私も子供達に混じって絵本を読みふけった.私が気に入ったのは五味太郎さんや駒形克己さんの絵本.
五味太郎さんの「正しい暮らし方読本」はパターン化された現代人の思考を柔らかく解きほぐしてくれる.
駒形克己さんの切り絵絵本「Yellow to Red」等に代表される切り絵の絵本は,色や形に対するイマジネーションがとても活性化される.http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/conyseye/33/index.html
短い時間だったがたくさんの良書をゆっくりと読むことが出来て私自身も満足した.

このカーニバルを企画された目黒実さんは「絵本は大人と子供の共有物」と言われた.
私は,この共有物という言葉を「つなぐもの」と解釈した.
例えば絵本を子供に読み聞かせをする時,子供の絵本に対する反応や感想に触れることにより,大人は子供との感性の違いを実感し,自分にはない子供の能力に気付かされることもあるだろう.子供と過ごす時間が少ない共働き社会において健全な子育てをおこなっていくうえで,絵本は大人と子供が繋がる時間を演出してれる貴重な存在かもしれない.