インゴ・ギュンター展

mich_katz2005-09-04

九大大橋キャンパス(元九州芸術工科大学キャンパス)で開催されているインゴ・ギュンター展と絵本フェスティバルへ家族で出かけた.もっと早い時期に来たかったがなかなかスケジュールが合わず,最終日の今日となってしまった.
インゴ・ギュンター展では,「地球の108の顔」と題して,108個の発光する地球儀が真っ暗な部屋に整然と並べられていた.地球儀の表面には21世紀の地球が抱える社会問題が,色を塗ったり,数字を並べたり,様々な描き方で表現されている.作者曰く,これは「ワールドプロセッサー」.
長女から彼女の目に留まった地球儀について「これは何の地球儀?」と聞かれるたびに説明したが,取り上げているテーマによっては,少しの説明を加えるだけで小学生にもすぐに理解できるものがたくさんあった.
例えば,各国の平均寿命.
日本の平均寿命が80歳以上と一番であることは小3の長女でも知っている.
そこで「じゃあ,いつかうちに泊まったDさんの国,南アフリカは?」と私が質問.長女は南アフリカを探し出して答える.
「50歳!???(確かそれくらいだった)」
「そうねぇ.この辺のアフリカと言う地域の国はほとんど40歳代の寿命やねぇ.ほら,ここなんか37歳よ!一番寿命が短いよねぇ.」
「アフリカの人はみんな長生きできないんやねぇ〜.じゃあ,今,Dさんは何歳?」
「45歳」
「え〜?じゃあ,Dさんもうすぐ亡くなると〜?」
「そういうことじゃないよ.これは南アフリカに住む人全員で見た時のおよその数字.もっと歳とって死ぬ人もいるし,子供のうちに死ぬ人もいる.アフリカの国の多くは,貧しい人たちが多くて,病気になっても病院に行けない人やお薬を買えない人が多いから,子供のうちに死ぬ人が多いんよぉ.だから全員で見た時にこれくらいの寿命になるんよ.」
「ふ〜ん.じゃあ日本はラッキーなんやねぇ.」
という具合だ.子供なりに何かを感じ取ってくれたようだ.
展示されている地球の諸問題に関するデータは,昨日のBlogで紹介した「世界がもし100人の村だったら」に出てくるデータと類似している.ここでは,その地球上のデータを天空から見下ろすように見れるので,取り上げられている諸問題がより身近なこととして感じることができる気がした.同じことを伝えるにしても,表現方法が変わると受け取り方が変わってくることはよくある.プレゼンテーションってやっぱり重要だ.
もちろん作品はアーティスティックな要素も強いので,部屋の隅からカラフルに光る地球儀をただ眺めるだけでも十分楽しめる.それはちょうど夏の夜に盆提灯が並んでいるどこか懐かしい光景にさえ見えた.ドイツ人の作品なのにである.