運動会の席取り

mich_katz2005-10-09

昨日は次女が通う保育園の運動会.週末の朝寝坊をしたいところだったが,いつもの休日より早起きし,カメラやビデオを準備して保育園へ子供と出かけた.

今年の運動会の運営は昨年までと少し違っていた.
トラック周囲の保護者席に程よいルールが設けられていた.いつものようにテントが張られた保護者席の中が,大人4人が座れるくらいの長方形のスペースが白線で区切られている.トラックに近い前列が最年長の星組の保護者用の席で,後列は星組以外の保護者の席とされていた.
昨年まで設けられていた席取りのルールは,当日の朝5時くらいから先着順に任意のスペースを確保するというものだった.スペースに制限がないので,押しの強い人と遠慮がちな人の間では確保するスペースに随分差が出来てしまう.一家族で2畳以上のスペースを確保するようなこともしばしば見られ,保育園の狭い運動場では,席を確保できなかった保護者がテントの後方で通路を塞いでしまうほど溢れかえっていた.
しかし,今年はそのような混雑は見られなかった.一家族当たりのスペースが均等に制限されたルールのおかげだろう.しかも,保育園最後の運動会となる最年長児童の保護者は,朝早く来なくても最前列に席を取れる余裕があった.このルールを継続すれば,どの家族にも必ず最前列でゆっくり見れる年が回ってくる.誰もが納得のいくルールだ.
そんな単純だけどすばらしいアイデアがこれまでにどうして採用されなかったのだろう?それは運動会というイベントにおける保護(参加)者の視点の欠如だったかもしれない.
運動会は保育園や学校がプロデュースするイベントというのが一般的な感覚だ.しかし,毎年同じようなイベントを繰り返して体験している園や学校側の職員にとっては,大きな行事を毎年無難にこなして行ければそれで良いという心理が強く働き,そのため,お客さん(保護者)側の立場に立った新しいアイデアが発案・実行されるチャンスは年を追うほど難しくなってくるかもしれない.
一方,保護者は児童の異動と共に毎年大きく入れ替わって行く.初めて運動会を経験する保護者にとって,運動会の席取り合戦は園や学校から受ける洗礼の儀式とも言えるだろう.私も長女の保育園の運動会に初めて参加した時,席を確保できず,溢れ変える保護者の群れに圧倒された覚えがある.運動会に参加することがそんなに大変なものとは想像もしていなかった.
経験を重ねた保護者は,運動会を楽しむためには,朝早起きして席を取る「努力」をするものという一種の不文律があること悟り,その不文律に少し不満を感じながらも文句を言わずに受け入れていくのがこれまでの流れだったのだろう.私もそうだった.
今回のすばらしいアイデアは,おそらく,そういう経験をした保護者によって発案され,その人の積極的な行動によって実行に移されたのではないだろうか.毎年行われるイベントがマンネリ化せず,活性化するためには,主催者側と参加者側,双方が「恊働して創り上げる」という意識が大切であるという好例である.発案・実行してくれた人たちに拍手を送りたいし,そのアイデアを様々な地域の運動会で是非使って欲しい.
ところで次女はというと,元気よくダンスを踊ったり,2回もリレーで走ったりして,妻と私を十分楽しませてくれた.子供の成長はとてもはやい.