久しぶりの星野村

久しぶりに星野村に来ている.棚田植物調査の今年最後の調査のため.
今回は,1泊2日で滞在時間が短い.昨日の昼少し前に棚田に到着し,早めの昼ご飯を済ませてすぐ調査に入った.
川で滑って調査用紙をダメにしたり,杉の倒木の上から落ちたり,といろいろなハプニングがあったが,休みもほとんど取らず,21の調査地点のうち19を日没直前までにやり遂げた.これまでの調査で最も速い記録だ.
村の民宿で現地調査がほぼ完了したことを記念し,祝杯をあげた.
調査した範囲は,棚田とそれを取り巻く小さな川と杉林,雑木林だが,歩けば30分くらいの範囲である.そこから,春,夏,秋と3回の調査を通じ400種に迫る植物種が見つかった.正確な評価は今後のデータ分析を待たねばならないが,重要な点は,棚田の中とその周辺の川や森の植物種の構成が明らかに異なっており,棚田以外で見つかる種数も非常に多いということだ.以前,環境創造舎の日々に書いた様に*1,植物だけでなく,見つかるカエルの種類も環境によって異なる.そして,異なる環境の植物や動物は様々な持ちつ持たれつの関係で結ばれている.
それは専門家にとっては当たり前な事実かもしれないが,その事実を星野の棚田で証明することによって,棚田の生物多様性保全するために,棚田という構造物だけでなく,棚田を「取り巻く環境」をセットで守って行くべきであるという指針を示すことができるだろう.
ただ残念なことに,現時点では,棚田周辺の杉林や雑木林はほとんど手入れされておらず,一部は,竹林に遷移している.その点は棚田景観を保全していくための今後の課題である.

今日は朝から土砂降り.昼から天気へ向かうという天気予報を信じ,未調査地点の調査へ向かう.