スターウォーズ

エピソードシ3シスの復讐をDVDで見た.
「かつてジェダイの騎士だったダース・ベイダーは,暗黒面へ寝返り,彼の師,オビ・ワン・ケノービと激しく戦った末,火山の噴火口に落ちて重傷を負った.それ以来,生命維持装置を装備したスーツを身に纏うあの恐ろしい姿になってしまった.」
私の記憶するところでは,中学生の頃に見た映画雑誌スクリーンやロードショーの記事にはこんなふうに書いてあったと思う.ジョージ・ルーカスが27年前に考えついたスター・ウォーズのこのキーストーリーが,シリーズ最後の今回の物語に凝縮されている.
kab-logさん*1が言うように,たくさんの専門家のよる制作チームを編成し,そのチームを生態系ネットワークのように機能させる段取り力はとても見事だ.今までのどのエピソードよりも細かい部分まで計算し尽くされているという感がある.
私が気づいたのは,このシリーズの最初と最後では映画の制作技術やストーリー構想に違いがあるにもかかわらず,27年前のエピソードにつながるように様々な工夫が凝らされているところである.
例えば,宇宙に浮かぶ戦艦.今回出てくる戦艦は27年前のエピソードに出てくる戦艦の形と似ており,スタッフがかなり意識して描いていることがわかる.CG技術が多用される現在と模型を多用した27年前との技術の格差をできるだけ感じさせない工夫と言える.
また,前回と今回のエピソードでは,ジェダイの将ヨーダは剣の達人として大活躍だったが,彼(?)が最初に登場するのは初作(エピソード4)でなく第二作(エピソード5)である.そのヨーダは,今回,シスに追われる立場となり,帝国軍の追っ手を逃れるために身を隠すと言った.つじつま合わせの感もあるが,これでエピソード4に出てこなくても不思議でない.
こんな工夫がストーリー展開のそこここにちりばめられることにより,今回の映画を見終わった時に「27年でやっとつながったよ〜!」という満足感や達成感を見ている人に感じさせてくれるのだろう.
話の重要な部分だけを先に決めて物語を作る方法は,論文を書く技術としてもしばしば役に立つ.特に,話の展開が長くなるときなどには,先に結論を書き,その後,その結論に向かって上流から書き進めると,話の要点を見失わないし,結論と結びついた魅力的な導入部も作りやすい.スターウォーズのストーリー展開はその好例として引用できる..