Campus Plants _ Narcissus tazetta var. chinensis

スイセン(ニホンズイセン) / 水仙(日本水仙

Amaryllidaceae / ヒガンバナ科

decorated by koma


農学部2号館のJR線側の道路に沿った柵付近でひっそりと咲いているのをみつけたので
一輪摘んで持ってきました
冬を代表する花ですね


ニホンズイセンと呼ばれることもあるのですが,実は地中海地方原産です
中国でも栽培が盛んなので,
古い時代に中国を経由して導入されたのではないかと考えられています


中国ではこの花を面白い方法で栽培します
まず,球根を半分に縦切りし,露出した花芽の周囲の葉を3分の1程度縦に削ります
それを横にして栽培すると,
花茎が上へ向かって伸びるため湾曲します
その形を愛でるという奇妙な栽培方法です
この栽培方法で育てるスイセン


「蟹爪水仙」(http://home.focus.cn/msgview/1398/43267619.html


と言うそうです
幾重もの葉が湾曲して伸びる様子が蟹の爪に似ているからでしょう


蟹と言えば越前
と言っても関係はないはずですが,
越前海岸付は越前水仙と言われるスイセンの群生が多数みられ
景勝地となっています


スイセン県花とする福井県には
スイセンにまつわる
水仙伝説(http://www.fmfukui.jp/fgnet/koshino/meisho.html)なるものまであるそうです
それは平安末期,源氏と平家が争っていた時代
「福井の刀上(たちかみ)海岸で溺れていた美しい娘をある男が助ける
その娘に源平の合戦から帰ったその男の兄も惚れてしまい,
娘をかけて兄弟は決闘することになってしまう
兄弟の争いの原因が自分であることを悲しんだ娘は刀上の海に身投げしてしまう
翌年の春,刀上の浜に見たこともない美しい花が流れ着き,
人々は,あの美しい娘の化身だろうとうわさしてその花を丘の上に植えた」
という三角関係話


娘さんはどうしてそんなに死に急いだのでしょうか??
兄弟喧嘩の仲裁くらいすればよかったのに〜


このお話の「美しい人が水仙になってしまった」という部分は,
スイセンの学名の由来となったギリシャ神話に
どことなく通じるものがあります


属名Narcissusは,ギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスに由来します
「誰もが羨む美貌を持つ少年は,
彼の高慢な態度に恨みを持つ人たちの願いを聞き入れた復讐の女神メネシスの魔法により
水面に映し出された自分自身の美しさに恋してしまう
しかし,なにも応えてくれないその鏡像を見つめ続け,
ナルキッソスはやがてその場で死んでしまった
その後,彼の体は水辺にうつむいてたたずむスイセンとなった」
というお話です


この神話から「ナルシスト」
すなわち自己陶酔してしまうという言葉がうまれました
このお話に基づくと思われますが,スイセン花言葉は 「自己愛」


自分を美しくするのは内面くらいにしておく方が無難かもしれません


by koma & mich.katz