Campus Plants _ Cycas revoluta
ソテツ / 蘇鉄
Cycadaceae / ソテツ科
decorated by simon
農学部生協の玄関前にある結構大きな株の根元に芽吹いた子株をみつけたので
それを持ってきました.
学校やお寺の庭,日本庭園など結構目にする樹木ですが,
故郷は九州南部から沖縄にかけての南国地域です.
奄美大島を訪れた時,
海岸に面した小さな山の斜面一面に広がるみごとなソテツ群落を見ました.
恐竜が棲んでいた時代にタイムスリップしたかのような
迫力ある独特の景観に思わず見入ってしまいました.
和名は鉄を与えるとよく育つ(蘇生する)ことにちなむとされますが,
島の至る所で鬱蒼と茂るソテツをみると,
鉄分など無くてもぐんぐん育つたくましい植物に見えるので,
由来を聞いてもあまりピンときません.
雄と雌の区別がある植物で,
実や幹にはデンプンが豊富にふくまれているそうです.
食料が豊かでなかった時代,島の人たちにとってはそれが貴重な食料であった様子が
下記のように伝えられていますです.
食べ物は、底をついて、芋も掘りつくしたが、かずらを植える余裕もないし、ソテツを倒して、デンプン採ったり、野草を食べたり、ソテツは、5月頃から食べはじめていたでしょうね。
夜になると、ソテツを倒しに行ったが、その頃、アメリカ軍は、あっちこっちに地雷を埋めてあって、それを踏んで死んだ人もたくさんいる。
稲が植えてあったから、穂を摘んで、一升ビンで精米して、ソテツを混ぜて食べましたね、あれは、だいぶ助かった。
渡嘉敷村の歴史*1より
しかし,ソテツを食料にするのはそうたやすいことではなかったようです.
実や幹に毒性分(サイカシンやマクロザミン)が含まれるため,
水によく晒してしっかりと毒性分を除かないと中毒を起こすことが知られています.
放牧が盛んな島では,ソテツによる牛の麻痺中毒や死亡事故*2があるらしく,
人も死に至る事故もかつてはあったとか.
そんなこともあり,ソテツを食料として利用するには
かなりの熟練した技が必要なようです*3.
それでもソテツからデンプンを取る技が今でも受け継がれているのは,
島の人たちの食料としてソテツが非常に重要だったということなのでしょう.
身近な植物を活かした薩南〜琉球地域独特の歴史や文化の重みを感じます.
沖縄の西方にある小さな島,粟国島では,
ソテツの実を使った手作り味噌「蘇鉄味噌」*4を
島の特産品にしているそうです.
また,ソテツの葉を編んで虫かごとして利用することができるそうです*5.
ソテツに関する様々な知恵 機会があったら触れてみたいものです.
P.S スミマセン.1日遅れ(金曜日の植物)のUPです.m(_ _)m
by simon & mich.katz