Campus Plants _ Pittosporum tobira

トベラ / 海桐花

Pittosporaceae / トベラ

decorated by koma


我が国では本州の太平洋岸の岩手県以南,
日本海側の新潟県以西〜四国,九州,沖縄および台湾の
海岸照葉樹林にみられる常緑低木.


海岸に適応しているため,
乾燥や塩分などのストレスに対する耐性が高いようです.
道路沿線などの緑化植物として多用されるのはそのためでしょう.


属名は,
原油・コールタールなどを蒸留した後に生成される
黒色粘着性の物質「ピッチ(Pitch)」を意味するギリシャ語Pittoと
種子を意味するギリシャ語Sporaの合成


なるほど写真のように種子の周囲が糊状に光っています.
それで本当にネバネバしているのかと思って触ってみましたが,
油のようにヌルヌルしているだけで粘着性はほとんどありませんでした.
もう少しでだまされるところでした.
見た目はネバネバ,実際はヌルヌル.


どうでも良いのですが,
ピットと聞くとスティック糊のある商品名を思い出して
妙に納得してしまいました.
こちらはちゃんとネバネバですね.


トベラは節分での鬼脅しとして利用されていたそうです.
節分の魔除けと言えば私が子供の頃,母に教えられて,
火で炙ったイワシの頭を刺したヒイラギを玄関に飾ったことがありますが,
伊勢,出雲地方では古来より鬼払いとして
トベラの枝も戸口に飾っていたそうです.
すなわち「扉(トビラ)の木」.
和名トベラはトビラが転訛したということです.


魔除けの効果は
葉を揉んだり,樹皮を剥いだり,根をつぶしたりした時の独特の匂いにあるとか,
燃えるときに出る大きな音にあるとか.


昔の人の生活と身辺の植物との深い結びつきを感じさせるエピソードです.
こうした伝統的習慣は是非継承したいと思います.


もうすぐ節分.
みなさんも今年の節分にはトベラとヒイラギを玄関に飾ってみませんか.


by koma & mich.katz