Campus Plants _ Paederia scandens
ヘクソカズラ / 屁糞葛
Rubiaceae / アカネ科
decoration & photo by mich.katz
日本,中国,東南アジアの草地や道端に広く見られるつる性の植物.
一度聞いたら忘れないみごとな名前です.
「屁」「糞」と漢字で書くとなおさらです.
その和名の由来は
葉や茎,果実を傷つけたときに放つ「匂い」にあります.
昔の人もこの匂いが気になったようで,
万葉集では高宮王(たかみやのおおきみ)によって
「屎葛(くそかずら)」と詠われているそうです.
Paederia属は熱帯地域を中心に約20種ほどあり,
アジア,アフリカ,アメリカ大陸とかなり広範囲に分布しています.
属名Paederiaはラテン語の「汚物」を,
小種名scandensは「よじ登る」を意味します.
合わせて「よじ登る汚物」.
学名も強烈ですね.
洋の東西,時代の違いを問わず,
誰にとっても匂いで気にされているという点が面白いと思います.
悪臭の本体はメチルメルプタンという成分だそうで,
植食性昆虫から身を守るのに役立っていると言われます.
名前とは裏腹に小さくて紅白に色づく美しい花を8〜9月頃に咲かせます.
花の内側の鮮やかな紅色をお灸をすえた跡に例えて「ヤイトバナ(灸花)」や,
花の形を田植えをする女性のかぶる笠にみたてて「サオトメバナ」と呼ばれます.
花は,小さなハナバチを巧妙に利用できる構造をしており*1,
そのおかげで,
秋頃から写真のように黄褐色の実が結実します.
実も風情があると思いませんか.
茶花やリース素材として利用する人もいるようです.
どこにでもある道端の雑草ですが,
この植物について触れているサイトがかなりあり*2,
名前が「かわいそう」とか「気の毒」などと同情する声が多く見受けられ,
中には「サオトメバナを正式名に」と訴える人もいます.
でも私は逆に,
「サオトメバナ」だったらあまり印象に残らず,
これほど気にかけてもらえなかったのではと思うのですが・・・
みなさんはどう思われますか?
by mich.katz