Campus Plants _ Smilax china

サルトリイバラ / 猿捕り茨


Liliaceae (Smilacaceae) / ユリ科(サルトリイバラ科
decorated by momi


日本全域からユーラシア大陸東部,フィリピンまで分布する,
落葉性,雌雄異株のつる性半低木.


こんな姿ですがユリの仲間です.
春に咲く小さくて地味な花をみると,
ユリの花のように6枚の花被片が交互に重なる様子*1はユリの花に似ています.


山野を歩けばフツーにみかける植物ですが,
さまざまな利用方法があるようです.


地下には肥大した茎(根茎*2)があり,
これが古くから生薬として利用されてきたようです.
根茎に含まれるステロイド系のサポニンが,
利尿,下痢,おでき,にきびに効くと言われています.


良く似た効能を持つ漢方薬に土茯苓(どぶくりょう)とよばれる有名な生薬がありますが,
これは,中国に自生する山帰来(さんきらい)と呼ばれる同属別種の根茎を利用するものです.
そのため,日本ではサルトリイバラのことを俗にサンキライと呼ぶこともあります.
鹿児島から琉球列島にはサツマサンキライという別種が分布していますが,
なんとなく「薩摩さん,嫌い!」と連想してしまいます.


葉も古くから利用されてきました.
特に西日本地域では,餅菓子をサルトリイバラの葉で包む風習が各地にみられ*3
それを柏餅(かしわもち)と呼ぶこともあります.
西日本地域ではカシワ(ブナ科のドングリの仲間)よりも
サルトリイバラの方が身近に豊富にあるため,
カシワの葉に代わって普通に使われるようになったようです.


春先のやわらかい若葉はおひたしや天ぷらにできるそうです.


最近では赤く熟した実が生け花や装飾に使われています.
例えばhttp://ashiato1320.at.webry.info/200511/article_6.html
のようなクリスマスリース
美しいですね.


ところで和名サルトリイバラは,
茎にある下向きのトゲに猿が引っかかって捕らえられてしまうという意味ですが,
ノイバラの仲間などに比べると小さなトゲですから,
ほんとうに猿が捕らえられるなんてことはまずないでしょう.
むしろ,洋服を着ている人間の方が,
野山を散策するときに手を焼いているかもしれません.


私もサルトリイバラのトゲで何度服に穴をあけたことでしょう.
そんな時は「猿捕り茨さん,嫌い!」とでも言いましょうか・・・


by momi & mich.katz