Solanum menphiticum _ Campus Plants

ムラサキイヌホオズキ / 紫犬酸漿


Solanaceae / ナス科
decorated by koma, photo by mich.katz


これがホオズキ


と言いたくなる果実の姿.ホオズキイヌホオズキも日本に普通に見られるナス科の植物.いずれも花の形態がナスの花と似ています.イヌホオズキの仲間の果実は紫色で,ホオズキのように萼で包まれることはありません.イヌツゲの記事で説明したように,イヌとは「ありふれた,役に立たない」という意味です.果実にはソラニンなどの毒成分が含まれており,ホオズキやナスのように園芸作物として役立つことはないようです.


今回は,種の同定に時間がかかりました.イヌホウズキは日本の在来種ですが,「日本の帰化植物」(平凡社)によると,日本で見られるイヌホオズキの仲間には,テリミノイヌホオズキアメリイヌホオズキ(北アメリカ),オオイヌホオズキ南アメリカ),ケイヌホオズキ南アメリカ),ムラサキイヌホオズキ南アメリカ),アカミノイヌホオズキ(ヨーロッパ)といった外来種があります.茎,葉,果実の形態や色から,今回採集したのは南アメリカ原産のムラサキイヌホオズキと判断しました.


それにしても外国からのお客さんの多いこと.いずれの種とも観賞用や食用として意図的に導入されたのではなく,種子が野菜や穀類など輸入品に混じって,私たちが気がつかないうちに日本への上陸を果たしたと考えられています.イヌホオズキの仲間以外にも,ワルナスビ,イチビ,アレチウリ,ハリビユ,シロバナチョウセンアサガオ,ショクヨウガヤツリなど,同じような経路で日本への入国を果たした外来植物が日本各地に広がっており,飼料畑で深刻な被害をもたらしているそうです.


近年の研究では,外来の植物と近縁在来種との間に出来た雑種タイプが分布を拡大しているという証拠も,世界各地で見つかっています.こうした雑種は,異なる地域環境に対する新たな適応能力を身につけており,その広がりとともに在来生態系へ大きなインパクトを与えるのではないかと考えられています.


国外からはるばるやってきて私たちの身の周りで普通に生活しているエイリアン植物たち.あなたはどうします?


by koma & mich.katz

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