Raphanus sativus var. raphanistroides _ Campus Plants

ハマダイコン / 浜大根


Cruciferae / アブラナ科
decorated by momi, photo by mich.katz


文字通り,海岸でよく見られる野生の大根.河川岸や水路土手など,流域沿いにみられることが多いので,海流や水流に乗って種子が散布されて全国に広がったと考えられます.ところによってはとても大きな群落がみられることもあります(例えば→http://www48.tok2.com/home/mizubasyou/hyousi1705.htm).


今回見つけたのは,研究室の圃場.理学部の学生さんが研究で使用していたので,そのこぼれ種から育った個体かもしれません.開花期は,普通,4月〜6月ぐらい.今回のは少し早めに開花した個体でしょう.


ハマダイコンは栽培ダイコンが野生化したものという説がありますが,まだ確かな証拠は得られていないようです.近年の遺伝子分析によると,宮城県で古くから栽培されるコセナダイコン(小瀬名大根)という葉を利用する品種が,ハマダイコンを起源とするようです*1


昨年の春のこと.とあるメジャーな新聞社の記者から一本の電話が.


「河川敷にダイコンのような花がたくさん咲いているが,砂浜で見られるハマダイコンだろうか?」とのこと.おそらくハマダイコンでよいだろうと思ったのですが,新聞記事となると確証のないことは言えません.そこで,その場での断定を避け,ハマダイコンを専門とする研究者を紹介しました.2〜3日後のこと,その記者からご丁寧なことに手紙が届きました.内容はこうです.

現在,イラク情勢が緊迫し,明るい話題がない中で,大根の花が満開の様子を紹介し,読者の方々にひと時の安らぎをかんじてもらおうと撮影したものですが,花のデータがなく(種類について確証が得られず),原稿が書けずに困っておりました.(中略)原稿は,イラク情勢の合間を見て,紙面で紹介させて頂きます.


身の周りのありふれた花に目を向け,それを疲れた人の心を癒すために役立てようとする新聞記者の心意気にとても感心したことを思い出します.問い合わせがあった日からおよそ一週間後,その記事は夕刊に掲載されました.


この一日一植物も,そんな風にみなさんに役立てて頂ければと思います.


by momi & mich.katz

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