Daphne odora _ Campus Plants

ジンチョウゲ/ 沈丁花


Thymelaeaceae / ジンチョウゲ
decorated by momi, photo by mich.katz


ジンチョウゲと言えば,松任谷由実の「春よこい」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか.


♪淡き光立つ にわか雨 いとし面影の沈丁花
溢るる涙のつぼみから ひとつひとつ香り始める
それは それは 空を越えて やがて やがて 迎えに来る
春よ 遠き春よ まぶた閉じればそこに 愛をくれし君の 懐かしき声がする♪


そんなふうに,春を思い起こさせる植物として日本ではお馴染みですが,実は,室町時代に渡来したと言われる中国原産の樹木です.外国産でありながら,そんなに古くから日本人に愛でられたのには理由があるからでしょう.


まずは,何といっても,花の香り,花はとても小さいのですが,結構離れていてもジンチョウゲの香りに気づいたという経験をお持ちの方も多いことかと思います.この花の香りが,沈香(じんこう)という香木(http://www2.kohgen.com/kohboku.htm)の香りと,チョウジ(丁字)の花(http://www.tsumura.co.jp/handbook/chouji/main.htm)の香りに似ているので「沈丁花」と名付けられたそうです.


また,紫,ピンク,白といった花のカラーバリエーションも魅力の一つ.しかも,ジンチョウゲの花は時間とともに色変わりします.本日紹介したジンチョウゲは,写真のように,咲き始めの頃は淡い紫色ですが,日が経つにつれて徐々に退色し,白っぽくなります.1/31に紹介したシチヘンゲ(ランタナの仲間 http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20060131)のようですね.


先月末,長崎県五島列島北部の無人島,野崎島を訪れ,自然学校の合宿に参加した小学生たちに植物の説明をしながら山を歩いたときのことです.


島中どこにでもみられるヒサカキの決していい匂いとは言えない,あの独特の花の臭気にややうんざりしながら道を進んでいると,それまでの匂いとはまったく異なるあまくて良い香りがどこからともなく漂ってきました.山道から数m先の林内をよく見てみると,可愛らしい小さな白い花をつけた数本の低木が目にとまりました.姿はジンチョウゲに良く似ているのですが,名前が分かりません.枝を持ち帰り,宿に戻って調べてみたところ,ジンチョウゲと同属別種の「コショウノキ」であることが分かりました.


ほんとうにジンチョウゲそっくりでしょう?


和製ジンチョウゲの思いがけない春の香りのプレゼントに癒されたひとときでした.

あなたに届いた今年の春の香りは何ですか?
by momi & mich.katz

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