Photinia glabra _ Campus Plants

カナメモチ / 要黐


Rosaseae / バラ科
decoration & photo by mich.katz


鮮やかな紅葉.
紅葉と言うと,普通,秋の落葉を想像しそうですが,これはカナメモチの新葉.


カナメモチは東海地方以西から四国,九州,中国南部,東南アジア(ミャンマー,タイ)の照葉樹林帯に自生する常緑小高木.新葉の紅葉が美しく,萌芽力が強くて剪定や刈り込みに耐えるので,関西地方を中心に昔から生け垣や庭木として利用されてきました.


材の比重は0.98.すなわち,ウバメガシやアベマキ等のカシ類とならんで,日本産木材の中で最も緻密で堅い木のひとつ.その丈夫さ故に,扇子の要(かなめ)として利用した,モチノキに似た木という理由で,「カナメモチ(要黐)」という名がついたとされています.


・・・が,現代では,扇子の要はプラスティックかクジラのひげを使用しているらしく,実際に,カナメモチが使われたという証拠をみつけることはできませんでした.赤い新芽を出すモチノキに似た木という意味の「アカメモチ(赤目黐)」が転訛して,カナメモチとなったとする牧野博士の説の方がもっともらしいかもしれません.


ところで,カナメモチの新葉が赤くなることには意味があるのでしょうか?


春の野山を歩いてみるとヤマザクラ,ノイバラ(以上バラ科),アカメガシワトウダイグサ科),タブ,クスノキ(以上クスノキ科)など新葉が赤い植物は結構あります.


新葉,越冬葉,落葉をと問わず,一般に,植物の葉が赤くなるのはアントシアンという色素が蓄積するためです.新葉中のアントシアン色素は,未熟な葉の細胞に含まれるクロロフィル光合成を行う色素:葉緑素)が紫外線で分解されないようにする働きを持つと考えられています.


つまり新葉中の赤い色素がサングラスや日焼け止めクリームの役割を持つということですね.


by mich.katz

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