Nature of Yakushima 2 _ A University's Scene
さて なんの実?
オオゴカヨウオウレン(Coptis ramosa,大五加葉黄蓮)の果実
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屋久島の自然の多様性を象徴する,高地環境に適応し,小型化した屋久島固有の植物たち.
オオゴカヨウオウレンもその一つ.本種はキンポウゲ科の多年草で,屋久島の森の苔むした岩や木の上でよく見かけます.
ちょっと長い名前ですが,「オウレン」は黄蓮と書き,漢方として利用されるCoptis shinensisという別種を指します.また,「オオゴカヨウ」は同属のバイカオウレンよりも大型であり,葉が五加(ヒメウココギ*1)の葉に似ていることに因みます.
それにしても面白い果実の形.今時期は花も終わりに近く,山歩きをすると,この幾何学的な美しさを持つ果実が目によく留まります.
果実の先端をよく見ると,穴があいています.図鑑によれば,種子が熟するとこの穴から種子がこぼれ落ちるそうです.これはオウレン属の特徴で,この穴は花のときから開いたままだと言います.つまり,「被子植物」の特徴とされる,「胚珠が子房に包まれる」形質が,オウレン属では不完全であり,「裸子植物」に近い原始的な状態とも考えられます.
今回,烏帽子岳へ向かう山道では,このオオゴカヨウレンの他,ヒメウマノミツバ(Sanicula lamelligera)やヤクシマコケリンドウ(Gentiana yakumontana)といった屋久島の小さな住人にも会うことができました.
ヒメウマノミツバ(Sanicula lamelligera)
ヤクシマコケリンドウ(Gentiana yakumontana)
みなさんも,屋久島の山道を歩く機会があったら,足元によく目を凝らして小さな植物の世界を覗いてみてください.