Lilium speciosum _ Campus Plants

カノコユリ / 鹿の子百合


Liliaceae / ユリ科
photo by mich.katz


今年も残すところあと2日.
写真は撮っていたけれども紹介できなかった植物にスポットを当ててみましょう.


カノコユリ
日本が世界に誇るユリ原種のひとつです.


このユリのはじめての海外渡航は江戸時代まで遡ります.


1794年,スウェーデンの植物分類学者ツンベルグはこのユリを「世界でもっとも美しい花」としてヨーロッパに紹介しました.小種名’speciosum’は’美しい’を意味します.


その後1832年,ドイツ人シーボルトが生きた球根を持ち帰り,オランダのゲント植物園で開花させたと記録されています.彼の著書’Flora Japonica’に描かれたカノコユリhttp://ddb.libnet.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/b01/image/01/b01s0208.html)の絵を見ると,当時の西洋の人々のこのユリに対する賞賛が聞こえてきそうです.


和名’鹿の子’は,花被片(花弁)の乳頭状突起を鹿の子絞りの紋様*1に例えたことに由来するとされます.


四国の山間地と九州の西海岸に野生でみられるそうですが,現在では絶滅が危惧されるユリの一つであり,私自身,野生のカノコユリにお目にかかったことはいまだありません.私の住む宗像市でもかつて野生のカノコユリが見られたそうで,市の花とされています.しかし近年は野生では全くみられず,残された自生株が古い神社で保存されているのみです.とても残念です.写真のカノコユリは,研究室の大学院生M原さんが研究用に栽培している園芸品種から採花したものです.


もともと自生数が多かった鹿児島県の西方沖にある甑島(こしきじま)では現在でも野生のカノコユリがみられると言います.


もしそれが本当なら,いつかこの島を訪れ,かつてのヨーロッパ人の感動を自ら味わってみたいものです.


【今日までの生き方】
12/28
午前 データ整理/事務室の片付け
午後 事務室の片付け/年末年始へ向けての準備


12/29
午前 家族の年賀状づくり
午後 家族の年賀状づくり
夜  家族の年賀状づくり/読書 



【今日の一言】
「人生の明暗を分つものは,運不運でなく,心の持ちようだ」(稲森和夫「稲森和夫のガキの自叙伝」)