いい作文とは _ Campus Life

mich_katz2007-07-03



「大学生になった彼らは,作文の技術を教えてもらう時間はなかなかない.………無防備のまま3年になり、一般企業のエントリーシートを書き、公務員試験の小論文を書く。それらが自分の一生を左右するというのにだ。」


ゴーシ舎長はそう言って,昨日の少人数ゼミの最終講義を作文の書き方指導から始めた(http://d.hatena.ne.jp/kab-log/20070702).


「作文を書く時に注意することは?」


という質問に対し,学生たちは答える.

接続詞の用法
主題・述語を明らかに
一文が長過ぎず(簡潔に書く/主語・述語ひとつずつ/単文で)
文体を揃える(デス,マスとダ,デアルの区別)
指示語の使い方(これ,それ,あれ,どれ)
尊敬語と謙譲語
句読点の打ち方
思う,考える(同じ言い回しを繰り返さない)
格助詞の用法

題名
主題,要点,まとめを明確に
難しく書かない
いろんな解釈ができるような文章は避ける
丁寧な字で書く(日本人は縦書きが良いらしい)
何度も読む
誤字,脱字
文章構成(起承転結)


作文力を高めるための要点が次々にあがってくる.さすが九大生.結構分かっている.


全員からの回答後,ゴーシ舎長より彼の経験に基づくアドバイス

  • まずは,「主語を意識して明確に」.


確かに,主語がない文や,主語と述語が一致しない文を書く学生は非常に多い.そういう文章に出くわすと,私は,「何がや?!誰がじゃ?!」と突っ込みたくなる.卒業論文でも日常茶飯事だ.

  • それから「‘が’の用法に注意すること」


私も「その‘が’はできるだけ使うな」と言いたい.私の知識によれば,この‘が’は,逆接として用いられることもあれば,逆接でない場合にも用いられることもある,変幻自在の接続助詞である.例えば,「彼は一生懸命勉強したが,落第した.」と「彼は一生懸命勉強したが,合格した.」のような文章.現代人はこの‘が’をあまり意識して区別しないらしい.しかし,読者は,この‘が’に出くわすと,「逆接なのか?そうでないのか?」と立ち止まってしまう.なぜなら,もしその‘が’が逆接の意味で用いられているなら,そのすぐ後に,著者からの大変重要なメーッセジがあるのではと,読者は構えるからだ.このように,読者の思考を一時停止させてしまう‘が’の多用は,文章として良くない.


ゼミでは出なかったが,さらに以下の点が作文をする際に重要だと,私は考えている.

  • 「一段落にテーマはひとつ」


これが意外と意識されていない.ひとつの段落内に筆者が主張したいと思われることが,二つ以上ある場合,「どれが重要やねん!」と私は突っ込みたくなる.私が作文技術の参考にしている本でもこう述べている.

段落のいいかげんな人は,書こうとしている思想もまたいいかげんで,不正確で,非論理的だとみられても仕方がないであろう. 本田勝一「日本語の作文技術」(朝日文庫

たいていの人間は,文章を書くときに,自分はふだん,どれくらいの長さのパラグラフを書いているか,ほとんど自覚していない.改行をつけるのも,まったくでたらめで,だいぶながくなったからそろそろ改行しようか,などと言って行を変えている.パラグラフの中をどういう構成にするかをはっきり考えたことはほとんどないのだからやむを得ないが,これではよい文章が書きにくいわけである.また,書けた文章がしっかりしない骨なしみたいになる道理である.
………段落の観念がはっきりしないから,文章に展開のおもしろさも生まれない. 外山滋比古氏「日本語の論理」(中央公論社

  • 「段落間のリンクを意識する」


これを意識すると文章に流れが生まれる.起承転結,つまりロジカルな流れが実感できる.私がこの点を意識した文章を書くようになったのは,次の本によるところが大きい.

リンクのさせ方には,いろいろなやり方がある.
一つのパラグラフの結論センテンスと次のパラグラフのトピックセンテンスで,キーワードを繰り返すこと.キー・アイデアを繰り返すこと.似た文章を使う.名詞を使って表現している部分を,代名詞に置きかえることなどである. 加藤恭子+ヴァネッサ・ハーディ「英語小論文の書き方」(講談社現代新書


こうした点を早くから学び,自分の人生をよりハッピーにしてもらいたい.

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