二つの出会いから得たもの〜家族の肖像 _ My Life

mich_katz2007-10-08



先日出会った素晴らしい3冊の本のうち、読んでいなかった2冊をこの連休に読み終えた。


そのひとつ「ここ 食卓から始まる生教育」


私が大変お世話になっている二人の共著で、もうじき西日本新聞社から出版される。


著者の一人、内田美智子先生は、以前の記事(http://d.hatena.ne.jp/mich_katz/20070712)で紹介した。私が先生に付けたニックネームは“号泣の魔術師”。多くの人が先生の講演で涙するから。でも、この本に綴られた内田先生の語りは、私が知っている内田先生の講演での語りとは少し違う。いつもとキー(調)が違うと感じる。それが、この本を読んでの私の第一印象だった。


先生の講演では、聴衆が考え込んだり、笑ったり、感動したり、泣いたり……、そんな波が何度も押し寄せる。その波と同調して先生の語りのキーは転調している。メリハリがある。そして最後は拍手喝采。それはまるでハッピーエンドが約束されたラブストーリーのよう。


その一方で、この本には、そういう起伏がほとんど感じられず、落ち着いた語りが淡々とゆっくりと流れていく。それは先生自身の内なる“怒り”を静めるかのようである。だからと言って、感動したり涙が出たりしないわけではない。読んでいくうちに、先生からのメッセージが”おにしめ”の出汁のようにじわ〜と染み込む。ボディーブローのように効いてくる。ゆっくりと考え、感動し、ほろりと泣く。そして読後に「よかった〜これ」としみじみと感じる。フォレストガンプみたいな社会派映画とでも言ったらよいのだろうか。


私の一番のお気に入りは第6章「私の家族」。「長女の一人暮らし」の書き出し部分で涙した。「長女の二十歳の誕生に」で感動し、拍手した。この章に描かれた内田家の素敵なエピソードは、こんな幸せが日本中の家族に“ありふれて”欲しいと心から感じさせてくれる。この章を読んだとき、以前の章に綴られた先生のメッセージを噛み締めながら、家族とは何か、子育てとは何かをいっそう真剣に考えさせられる。それは、私の知る限り、講演では聞けない内容であり、この本だけでしか味わえないものだ。


「性を大切にしようと思えば、生が大切になります。
性教育は生教育です。
生を大切にすれば食が大切になります。
生きることは食べること、食べることは生きることです。
「性」と「生」と「食」はつながているのです。」


見返し部分にあるこのメッセージがこの本に流れるモチーフ。そして、このメッセージを未来に伝えていくための要は、母と家族だと内田先生は教えてくれる。だから、この本は、これから家族を作ろうとしている若者たち、素敵な家族を育んでいきたいと思う親たちに是非読んで欲しい。

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