幻の白カノコユリ〜カノコユリ探訪

フリーライターのMさん、栄養士のSさんと、地元でカノコユリ探訪。


何の情報も、あてもない。
それでも、「あの辺だったらあるんじゃない」とか、「こんな場所ならあってもいいよね」とかわいわい言いながら探すのが楽しい。


私は車を走らせ、Mさんは電話で近所の知人に聞き込みをする。「昔、XX辺りに結構あった。」という情報を手にし、ある山の麓のお寺たどり着く。別にそのお寺を目当てにした訳ではないのだが、そのお寺にあるかもしれないと思い、アポなし突撃。


玄関のチャイムを鳴らすと、奥から優しい雰囲気の住職さんが出てこられた。


「突然ですみません。宗像に自生するカノコユリを調査しているのですが、このお寺にありますか?」
と私。すると、その住職さんが一言。
「ありますよ。」


ビンゴ〜!


少々あっけない結末と思いきや、ここからが面白かった。


住職「白もありました。」
私「白鹿の子ですか?」
住職「ええ。裏山にまとまって咲いていました。」


白鹿の子は赤鹿の子の色素突然変異系統。赤い彼岸花の中に突然現れる白い彼岸花のようなものだ。自然条件下で稀に生じるとは聞いているが、それがこのお寺にあったとは驚きだ。


私「今もありますか?」
住職「白鹿の子があった場所はもう荒れた竹薮になってしまったので、今でもあるかどうかは………。」


どうやら、裏山の管理が行き届かず、このお寺のカノコユリも個体数を減らしてしまったようだ。


「もし、見つけたら、どうか大切にしてください。」
境内に残る赤鹿の子の果実だけを頂いた私は、住職にそう告げてお寺を後にした。


帰路、私は「市内のどこかにまだ白鹿の子が残されている場所があるかもしれない」と思った。


そう思うと、なんだかワクワクしてきた。
プロジェクトの楽しみがひとつ増えた気がした。