地域の宝マップ


エコバッグデザインの入稿の日。
デザイナーのMさんの事務所へ。


デザインデータの入ったCDをAさんから受け取って帰ろうとする私に、仕事場から出てこられたMさんが、「ひらまつさんに見てもらわなきゃと思って」と、手渡されたものは………、


M小地域の宝マップ


それは、PTA会長を勤めていたMさんが、PTAの方々に呼びかけて作ったもの。どんな地域にも、そこで暮らしてきた人が延々と受け継いできたものや未来に残したいと思うものがたくさんある。それを、子どもたちが自ら取材し、親たちや先生たちと協力しながら編集した。いろんなことを知っている地域のお年寄りからの聞き書きもした。


なんて素敵な取り組みだろう。


私が素晴らしいと思ったのは、
「そんなお金どこにあるの?」と言うよりも先に、「受け継いできた大切な宝を未来に残そうというとても意味のある活動だから、資金はみんなの手出しでもいいじゃないですか。」と提案したMさんの前向きな姿勢。


「これを作ってからもう何年も経つのに、未だに『このマップが欲しい』って言ってくるんですよ。」と嬉しそうに言うMさんを見ながら、こういう人だから、私たちのエコプロジェクトを応援してくださっているのだろうと思った。


巷では安全マップ作りが流行っている。それは、地域がいかに危険にあふれているかを知らせるためのもの。これに対し、宝物マップは地域がいかに大切なものであふれているかを知らせるためのもの。地域のお寺や神社、古墳、森など“もの”だけじゃなく、となりのおじいちゃん、おばあちゃん、おじちゃん、おばちゃんたちのような“ひと”だって立派な宝ものだ。そんな地域の宝がどんどん増えれば、地域の危険はどんどん減っていくかもしれない。


だから私は宝マップの方を作りたい。