タネのないブドウのタネ明かし(その1)

学生時代。
ワインとその原料であるブドウに興味をもった私は新しいタイプの種なしブドウの育成に関する研究に携わり、卒業論文修士論文を書いた。


種なしブドウと言えば、デラウェアやピオーネがよく知られている。実は、デラウェアもピオーネも本来は種あり。


種なしブドウを作る農家は、ジベレリンという植物ホルモンを溶かした水をコップのような容器に入れて、開花直前のデラウェアやピオーネの花房をそれに浸す。この処理で花粉が機能を失い(不稔となり)、その結果、種ができなくなるのである。


しかし、ブドウの果実は、本来、種が成熟し、次の子孫として受け継がれていくために肥大する。花粉の機能を失い、種ができなかった花(子房)は肥大できず、果実になる前に枯れてしまう。そこでもう1回、ジベレリン溶液に浸すと、今度は、種なしでも果実を肥大させることができる。


つまり、花粉を不稔にし、種なし果実を肥大させるという二つの目的で二回のホルモン処理が行われ、種ありブドウから種なしブドウが作られているのである。種なしブドウの栽培には種ありブドウの栽培よりも余分な労力がかかるのである。


それならば、最初から花粉不稔のブドウを作れば、ホルモン処理の労力は半分になるのではないだろうか。その発想が私がおこなった卒論・修論研究の出発点だった。


花粉を不稔化する方法の一つに、三倍体(染色体の基本セットを三セット持つ)植物の育成がある。通常、生物は二倍体(染色体二セット)が基本で、子孫へは、卵細胞と精細胞を介して染色体が半分(一セット)ずつ受け継がれる。しかし、三倍体は染色体の基本数が奇数セットなので、生殖細胞を作る際、半数化に失敗し、不妊(不稔)となる。


植物では細胞分裂のミスで染色体の基本セットが“倍加”することがある。栽培ブドウでも二倍体の枝が成長途中で四倍体化する“枝変わり”がよく起こるので、挿し木によって簡単に四倍体ブドウを増やすことができる。こうして日本では、四倍体のブドウ品種が選抜、育成され、さらに四倍体どうしを交配して新しい四倍体が育成されてきた。ちなみに巨峰も四倍体どうしの交配で育成された品種のひとつ。


私は、様々な二倍体ブドウと四倍体ブドウを交配し、通常だったら途中で死んでしまう未熟な三倍体の胚(三倍体の赤ちゃん)を試験管培養で救出し、300を超える三倍体ブドウ三年がかりで育成した。


その中から非常に優秀な系統が選抜・増殖され、何年にも亘る試験栽培を経て、この度、農水省において品種登録されることとなった。


20年を超える歳月。
世の中にある農作物の多くは、こんなふうに手間ひまかけて育成される。
手間ひまかけなければ、ほんとうに良いものはなかなか生み出せないということだ。
農業研究の醍醐味はそこにあるのだと思う。


だからこういう声が届くととても嬉しいし、とても励まされるのである。

過日には、おいしいブドウをありがとうございました。
あまりのおいしさに、品種が書いてなく、何の品種なのか?
教えていただけると幸いです。
今年は、葡萄のおいしいものにあたりませんでした。
今期、ナンバー1のおいしさでした。
本当に、ありがとうございました。

やっぱりね〜〜、あの味はただもんではないと
感じました。
20年もかっかっているなんて〜〜〜
甘味と酸味、香りのバランスがとてもすばらしかったです。
ヴィンテージですね。
葡萄のロマネコンティーですね。
貴重なものを本当に、ありがとうございました。


ぶどうの名前は、比良松先生の名前にしたほうがよいと思います。
20年もかけての御苦労。
比良松20、とか
ダイレクト過ぎるならば
ヒラマッチェリーナ
ヒラマッツア
ヒラマツリネーゼ  
など・・・・
ぜひ、お名前をいれてです。
後世にぶとうを残してくださいね!

今日は、とっても美しい葡萄を有難うございました!!
早速、家族で戴きました。
最近疲れ気味だったせいか、甘い葡萄がうれしゅうございました!
先生のお話を無料で聴いたうえ、このような品までいただいて、大変恐縮しております。
あの時、打ち上げ?の席にいた同じ小学校で一緒に弁当推進委員(笑)やってるSさんにもおすそわけしました。

ブドウ、ありがとうございます!
突然のプレゼントに、びっくり、そして、嬉しかったです。
果汁が多くて、冷やして食べると本当においしいですね。

ありがとうございました〜!
なんですか、あの旨さは〜!なんなんですか、あの甘さは〜!


あまりのうまさに、夫婦で「超うめ〜!」を連発しながらムシャムシャ
むさぼりついてしまいました。嫁さんにいたっては「こんなのはじめて〜!
ひらまつ先生すごい〜!」と恍惚の表情を浮かべながら狂喜乱舞しておりました。
土曜のお昼にいただいたのですが、旬の食物で人を絶頂に導く…、
まさに「ランチひらまつ」っす。
あー、おそろしやおそろしや〜。


それにしても、うまかったっす!まいりました!旬の超絶ぶどうっすね。
まさに「歓喜の旬間」を存分に堪能させていただきました。


職場と地域の仲間にも、おすそわけさせてもらいました。
みんな目をひんむいて絶賛しておりました〜!