大学生版「あの時の、あの食事、あの弁当」その7


多くの大学生は、親元を離れて暮らす。
「ちゃんと食べとるやろか」
と実家で心配する親がいる。
だから、我が子の久しぶりの帰省となると、
実家では、
普段は作らないようなおもてなし料理が待っている。
大量の料理が待っている。

 先日久々に実家に帰省することになりました。すると、帰省する2週間位前に母にメールで「帰ったら何が食べたい?」と聞かれました。私はそのとき食べたいと思ったものを答えました。そして帰る日がきました。しかし帰る数日前から体調が優れず食欲がすっかりなくなっていました。
 ただいま〜と言って家に入ると、母が「クリームコロッケちゃんと作ったよ。食べる?」と言いました。母が指す方向にはまだ揚げる前のクリームコロッケがたくさんありました。
 そこで私は2週間前に自分が食べたいと言ったものを思い出しました。家に帰る新幹線の中で、2週間前に母に何が食べたいか聞かれたことを思い出したのですが、自分が何を食べたいと答えたかは思い出せなかったのです。
 私は覚えてなかったのに母は覚えていて、しかも揚げたてを食べさせるために揚げる前の状態にしてくれていたのでした。
これだけでもありがたいし、申し訳ないと思ったのに、私は食欲がなかったので食べることができませんでした。
 そして福岡に戻る日、母は朝から仕事だったため会えませんでした。でも冷蔵庫には揚げたクリームコロッケがまだ残っていました。私は相変わらず食欲がなかったのですが、前もって準備してくれた母の気持ちを考えると食べずにはいられなかったので食べました。やっぱり美味しかったです。ありがとうを言いたかったけど母は外出していたため結局直接言えずに帰りました。
 また家に帰ったときに思ったのですが、母はクリームコロッケ以外にも私が一人暮らしでは食べないものをあえて用意してくれていました。そんな配慮が私にはすごく嬉しかったです。


我が子はいつまでも我が子。
注ぐ愛情はずっと変わらない。