手間のかかった誕生日


日曜は次女の誕生日のお祝い。


平日は、何かと忙しく過している我が家だが、
休日を利用して実施する誕生日のお祝いだけは絶対に手を抜かない。
特にこの日は、妻と私の両親も全員揃い、いつになく盛大なお祝いとなった。


韓国では、自分の誕生日に、生んでくれた親に感謝し、親の健康を気遣い、手料理を振る舞うと聞いたことがある。
「あなたのことを大切にしている」という気持ちを伝えるのである。
それをヒントに、我が家の誕生日祝いはちょっとしたイベント風に演出される。


まず料理。
誕生日でない人が、誕生日を迎えた人に少なくとも一品の料理を手づくりしてプレゼントする。
この日、食卓に並んだのは……


妻と私の作品(すべて糀料理)。
辛糀風味の煮卵。
砂ずりの素揚げ塩糀風。
ヤリイカとあさり貝の糀ピザ。
あさり貝の甘糀スープ。
天然鯛の塩糀カルパッチョ


この日は、これに母の手づくり煮豚も追加された。


長女の作品は食後のスウィーツ。
チョコレートケーキ。


食後はプレゼントの贈呈。


私の場合、一応、事前に希望を訊く。
しかし、想定外のサプライズ品も用意する。


最近、私は“大きな袋”と“小さな袋”を必ず用意する。
誕生日を迎えた人が、大切な袋を池に落としてしまったという、イソップ寓話「金の斧」で演出する。
「お前が落としたのは大きな袋か、それとも小さな袋か?」と、“とりあえず”、仙人である私が訊ねる。


その回答とはまったく無関係に、事前の希望どおりのプレゼントが入っている袋を先に渡す。
希望どおりの品を受け取って喜んでいるところを見計らい、
「正直者のおまえには、こちらの袋も差し上げよう」と言ってもうひとつのサプライズ品の入った袋を渡す。
喜びがダブル。


長女の演出はもっと凝っている。
彼女が用意するプレゼントは、毎回、何問ものクイズや暗号を説かなければ貰えない。
例えば、「042 0410」とか。
そういう“難問”を“何問”も解き進めるとようやくプレゼントが隠された場所にたどり着くというもの。


この日、「和室の押し入れ=042の0410」に長女からのプレゼントをめでたく発見した次女は、ベッドに入ってもなかなか寝付けなかったのであった。


手間をかける誕生日はこんなにも楽しい。