マーケット・イン型授業の創造


昨日の九大全学教育「いのちの授業」は岡崎好秀先生にお越しいただき、「みんなで極める発信力 〜 伝える力をものにできるか」を開講。


聴講生は、九大学生5名と社会人(今井一彰先生と私を含む)4名の計9名。少数で岡崎先生のこれまでのベスト講演ネタを90分で堪能できるというなんとも贅沢な授業だった。


終了後、伊都キャンパス内のレストランにて最終新幹線の時間までほぼ同じメンバーで交流夕食会も開催。この場でも、「香川県人は唾液が少ない」など、面白いお話を多数お聴きし、岡崎先生のお話に対する学生たちの気づきや学びを一人ずつから語ってもらい、たいへん有意義な時間を過ごすことができた。


「みんなで極める発信力 〜 伝える力をものにできるか」は、岡山大の学生発案型授業のひとつ。学生たちの「こんな授業を受けたい」という提案から企画された。「プロダクト・アウト」でなく「マーケット・イン」の発想を取り入れた授業だ。他にも「大学授業改善論」や「ドラえもんの科学」など、大変興味深い授業がある。昨日、岡崎先生からこの話を聞いた九大生たちが「九大にもそのような授業を実現させて欲しい」と反応したのが印象的だった。


先月、岡山大の「・・・発信力」で一コマを持たせて頂いた。一回きりの授業にも関わらず、私から対話を求めたときの反応がたいへん良く、学生たちの積極性を強く感じた。毎回、学生の学びや気付きが記入されたシャトルカードに、教師は一人ずつコメントを書いて次の授業で手渡しする。学生の積極的な姿勢に対して教師も応えようと努力する。このように、マーケット・インで企画される授業には、プロダクト・アウトの授業では得られなかった効果がある。


「学生たちから「料理」をテーマにした授業を開講して欲しいとの要望があったが、実現に至らなかった」。岡山大で「・・・発信力」を担当するもう一人の先生からそんな話を伺った。私は、この話を聞いて「もったいない」と思うと同時に「九大で実現できるかもしれない」と思った。


今年から「いのちの授業」では「自炊が当たり前になること」を目標に据えている。前期、この目標に向かってやってきて気付いたことは、大学生は私の予想以上に自炊を身につける必要性を感じているし、自炊を好きになるということだった。そして、大学生に料理を教えたがっている人たちも身近なところにたくさんいるということだった。


先週、この想いに応えるマーケットイン型の授業を来年度から開講できるように教務係へ申請した。

授業名:少人数セミナー「自炊塾」
概要:本気で「自炊」を身に付けたい学生のための実践的授業。自炊経験は問いません。経済成長に伴う私たちの食生活の変化が、医療、福祉、農業、環境、教育分野における様々な問題と如何に密接に関係しているかを学び、そうした問題を解決する上で個人の食料消費行動の変革が如何に大きな影響力を持つかを、「自炊」を通じて体感できる斬新な内容です。プロの料理研究家や料理人、この授業の前身である「いのちの授業」を履修した先輩たちのアドバイスを受けながら、財布と身体に優しく、レシピが優しい料理をいつでもできる人に成長することを目指します。


来期からの九大「自炊塾」。
参加してみませんか?
習う側、教える側、どちらでも歓迎致します。



写真は「みんなで極める発信力 〜 伝える力をものにできるか」での一コマ(撮影:岡崎好秀先生)。