「弁当の日」で育つ


岐阜市内の中学校で保護者と全校生徒向けのダブルヘッダー


中学生向けの講演は、小学生や高校生向けより難しい。心が激しく揺れ動く年頃の子どもたちの成長段階は様々で、まさに、不揃いな果実だ。だから、生徒と対面するまでは結構気が抜けない。


今日の生徒たち。すこしふざけた生徒もいたが、全体的には聴く姿勢がよくできていた方だった。ちゃんと顔を上げてこちらに視線を向けている子がほとんど。話しやすかった。


しかし、一人だけ気になる生徒が居た。身体を半分後ろにひねり、講演の途中からずっと私語が止まらないのだ。私は、話に集中しながらしばらく様子を見ていたが、一向に私語が止む気配がない。


講演中盤の一番大切な話にさしかかった時、その生徒の周りに居る生徒たちの困惑の表情が目に入った。その瞬間、条件反射的に、私は私語をする生徒を指差して言った。


「キミ、うるさい。周りの同級生が迷惑していることを察知しなさい」。


それ以降、彼はおとなしくなった。明らかに、彼は、自分の存在をアピールし、認められたがっていたのだと思った。


保護者向けの講演で伝えたこと。それは「弁当の日」を実施するという目的でなく、「弁当の日」を通してどんな子どもたちを育てるかという目的を共有すること。


周りの空気が読める人。
周囲に喜ばれ、自身の存在を有り難がられる人。


「弁当の日」を体験した彼にはそういう人になって欲しい。