野の花見

昨日は次女を連れて「野の花見」に参加した.環境創造舎による企画イベントで,ゆっくり歩きながら道端や田んぼの草花を愛でるというお花見会.農と自然の研究所発行の「田の草花ガイド」を片手に,同研究所代表の宇根豊さんによるガイド付きで,1時間以かけて九大新キャンパス周辺にある田園の中を散策した.
家族連れ中心で構成される30名超の参加者たちは,熱心に道端の植物を観察.皆,あまりに夢中になり過ぎてひとところからなかなか動かず,スタッフから「まだ先は長いですから〜」と誘導される場面もしばしば.
多くの人は,日常の生活の中でほとんど役に立たない「雑草」に,これほど夢中になることはほとんどないかもしれない.が,こういうゆっくりとした時間で行う素朴な「遊び」の中に,いつまでも心に残る出会いや,意外な発見があるものだ.
私の発見のひとつは,日常お世話になっている「野菜の花」がどんなものか,意外に知られていなかったこと.側にいた参加者に,収穫を終えた畑に咲いていたブロッコリーの花を教えたら,「へ〜こんな花が咲くの!」と驚きの声.他に,高菜(タカナ)の花,花菜(ハナナ)の花が咲いていた.野菜ではないが浜大根(ハマダイコン)も小川の土手に満開だ.いずれもアブラナ科の植物だから,花の様子はいわゆる「菜の花」に良く似ている.しかし,よく見ると花の色が種類ごとに微妙に違う.この違いが分かるようになったらなかなかの通(つう)だ.宇根さんが「野菜の花の図鑑というのを作ったら結構いけるかも知れないネ」と言われた.私も同意.野菜だって植物だから花が咲く.
散策の終着点は浜地酒造.当然,皆で酒盛りだ.作り立てのビールや九州大吟醸に程よく酔えば親睦も深まる.ゴーシ舎長が紙芝居「元岡里山物語」を始めると賑わいはピークに達した.その場で,新作第二話のお披露目に立ち会えたのはラッキーだった.第二話では酒パンマンや酒蔵戦隊ノメルンジャーの正体が明らかにされた.
酒盛りの最中に,私は思いがけず元職場(農業試験場)の先輩に再会.日本酒片手に膝を付き合わせて近況を語り合った.
帰りも環境創造舎の学生スタッフと来た道を再び駅まで歩いた.次女は大学生のお兄ちゃんお姉ちゃんと戯れながら往路よりも元気に歩いた.大人もくたびれるほどの距離を歩いた次女は電車の中で寝てしまった.増えた大きな荷物と心地よい疲労感を抱えて私は電車を降りた.