青年の家について

国立青年の家での出来事について,今日,研究室のスタッフに話したところ,大部分の人は安くてもそんな所には泊まりたくないという反応だった.ただひとり,助教授のW先生からは「そりゃ,そうですよ」と言われたしまった.青年の家の利用経験があるらしく,研修目的でしか使用できないことや,朝夕の集いや国旗掲揚があることもご存知だった.
国立青年の家は文科省の施設であり,ウェブサイト*1も開設している.しかし,そのホームページの内容からは,我々が経験したような厳しい制限を「読み取る」ことはほとんど不可能である.Q&Aのページで唯一下記のような記述を見つけることができた.

Q21:修学旅行での利用は可能ですか?
A21:可能ですが、宿泊だけの利用は研修施設としての機能を果たさないので、利用目的を、しっかりお考えください。

この記述でも宿泊だけの利用は「できない」とは明示されていない.分かりにくい.典型的なお役所的文言だ.
朝夕の集いについても「標準生活時間」という日課表の中に掲載されているのみで,全員に課せられることは明示されていない.もちろん,集い時に全員で国旗掲揚することも明示されていない.ウェブサイト全体として,如何に設備が充実した施設であり,有意義な研修プログラムを用意しているかについてのみ述べている傾向が強い.
我々のように宿泊費の安さに魅かれてやってきたが,いざ利用してみると様々な予期せぬタスクを強制的に課せられてしまって驚いたと感じる人も少なくないのではないだろうか.その辺は,嫌われそうな内容はとりあえず伏せておいて美味しい宣伝だけで勧誘する,怪しいキャッチセールスや宗教団体に通じる部分がある.
今回の我々のように,野外で朝から夕方まで独自のプログラムによって阿蘇の草地保全について真面目に研修してきた団体であっても,夕方チェックインして朝チェックアウトするまでの間に,施設内で何らかの研修を課せられなければ宿泊するに値しないと判断されるらしい.
W先生は「幼児や小中学生の団体なら研修所にお任せしとけばよいから楽ですよ.」と言われた.それはそうだろう.しかし,自主自立性が十分に発達していない集団と異なり,我々の様に積極的な自主活動を行っている団体にとって,研修所に深く根付く「不文律」は有り難迷惑である.
青年の家は平成13年4月から独立行政法人化されたらしい.大学と同じ様に,税金で運営される組織として,従来以上にサービス性を向上し,利用者層を拡大していくことをこれから国民に問われるに違いない.周囲に流されるステレオタイプでなく,自主・独立・創造性のある青年を育成するために.