みちのく植物紀行:4日目

朝日岳登山を終え、昨夜のうちに宮城県に入る。まだ東北地域の海岸植生を見たことがないので、日本三景で有名な松島より少し北にある牡鹿半島へ。昼までにレンタカーを返すために仙台市内へ行かなければならないので、朝6時から行動する。
まず半島内の松林をあるいたが林床が非常に貧弱で、樹木の樹皮が剥がれたり、葉がほとんどなくなったりしている。どうやら鹿のしわざらしい。牡鹿という地名から察するに、鹿が昔から居たと思われるが、屋久島同様鹿が増えすぎて林床植物に被害が及んでいるのだろう。「しか」たないので海岸へ移動した。
港では水揚げしたばかりの大量の牡蛎の殻剥き作業が行われていた。仙台の牡蛎は有名で、福岡の居酒屋にも出回っている。
美味しそうな牡蛎を横目に見ながら磯へ近づくと、岸壁の薄い土層に根を張り張り付く様にして生えるスカシユリの群落を見つけた。岩壁をよじ上り果実を採集した。
同じ場所にイワレンゲという、福岡ではレアな多肉植物がみられた。本種およびスカシユリ、共に自己新である。
九州では、こうした海岸の環境にコオニユリがしばしば見られるのだが、ここでは目にすることがなかった。所変われば住人も変わることを実感するとともに、今後オニユリの研究を進めていく上での重要な知見を得ることが出来た。
明日からは学会である。