Raphanus sativus var. niger ?_ in Germany

ダイコン(クロダイコン)? / (黒)大根?


Cruciferae / アブラナ科
photo by mich.katz


これも悩ましい
ダイコンか? カブか?


ヨーロッパには二十日大根のような表皮が赤いダイコンだけでなく黒いダイコンが栽培されているようですので(http://www.packetseeds.com/acatalog/77.html),その一種かもしれません.ヨーロッパの在来ダイコン系統にどの程度地域変異があるかを記載した図鑑が身近にないので,今後の宿題にしておきます.


地域在来野菜に関わるお話ですが,
本日,九大で開催された日本有機農業学会(http://d.hatena.ne.jp/kab-log/20061129)に参加しました.


私が普段関わっている学会とは異なる,新鮮な空気に触れることができ,大変刺激になりました.


この学会にはお百姓さんたちが参加します.一般の人が聞けば変に聞こえるでしょうが,私が主として関わる園芸学会も含め,近年の農学系の学会においてお百姓さんが参加するのは大変希なことなのです.


「遺伝子」を科学の物差しのひとつとして利用し,園芸資源の多様性とその成り立ちについて研究をしている私なので,「え?あんた遺伝子扱ってるの?」と参加者から冷たい視線が浴びせさられそうで,やや肩身が狭い気がしないでもありませんでした.しかし実際には,そんな心配もどこかへ吹き飛んでしまうほど,農業現場にしっかりと根ざした熱い議論にいつのまにかのめり込んでいました.


特に,自家採種で地域在来種を守りながら有機農業を営むお百姓さん,岩崎政利さんのお話は(お会いするのは二度目ですが),私個人には大変示唆に富む内容でした.


岩崎さんは知っています.


在来種を維持するためには,内婚弱勢を避け,集団採種で遺伝的多様度を高く保つのが望ましいことを.


そして誰もが分かる言葉で語りかけます.


大事にしたい人(野菜)だけを選び取るのでなく,その人といろんなタイプの人とを一緒に守り育てていくとが,結果として,大事にしたい人を身近なものにすると.


そして,地域の宝とも言える様々な在来野菜の種子を,できるだけ多くの人の手で守ることが大切だと訴えます.


私たち学者や研究者が,教科書や授業からしか得ようとしなかった採種や生物多様性保全の論理を,自らの農業体験を通して修得し,平易な言葉で翻訳する岩崎さんを見ると,素直にすごい人だと感嘆します.


岩崎さんの話に耳を傾けながら私は自問自答していました.


高度な技術を得た私たち農学研究者はお百姓さんのために何ができるのでしょう?お百姓さんは私たち農学研究者に何を期待できるのでしょう?


ノートに書き留めた岩崎さんと本日の講演者の様々な印象深い言葉を振り返りながら,私なりの答えを見つけることができたのは幸いだったかもしれません.


その私なりの考えを,次回,岩崎さんにお会いする機会があれば投げかけてみたいと,家路に向かう車の中で思うのでした.


by mich.katz