忘れ物 _ My Life
<ワンショット 〜 弁当の日のテレビ取材に、緊張しながらもナイスなコメントをする学生たち>
自宅の井戸端付近の水たまりで見つけたオタマジャクシをバケツですくおうとしたメイが、底に空いた穴を覗いているうちに、オタマジャクシのことを忘れ、転がっていたドングリに気を取られる。ドングリを追跡しているうちに、小トトロを見つける(ようなシーンだったと思う)。
となりのトトロでのお馴染みにのシーンだが、このメイちゃんの行動は、典型的な子どもらしい行動のひとつだろう。
この、ふとした隙に、やろうと思っていたことをすっかり忘れてしまったり、持っていたものを置き忘れてしまうという癖。実は、大人になってもどうしても直せない私の癖だ。
最近、この癖はどうやら長女にも遺伝しているらしいと感じている。
先日こんなことがあった。
朝、登校したはずの長女から電話があり、習字道具を忘れたと言う。
「お父さ〜ん。あのネ、習字道具を家に忘れたったい。たぶん、…か…にあると思うから、学校まで持ってきて。」
忘れ物は今回に始まったことではないので「またか」と思う。こっちももう家を出ようと思っていたところだったので、思わず、「勘弁してくれヨ」という気持ちになる。言われたところをつぶさに探すが忘れ物が見つからないのでイライラする。こちらから長女に連絡を取ることができないので、学校へ行き、もう一度、長女から場所を聞き出す。再び家に戻って探すが、どうしても見つからない。もう一度学校へ行って、伝える。
「用意しとったとネ? 学校に行きよる途中でどっかに置き忘れたんやない?」
「用意しとったヨ。だけど、それを持って…(妹)を待っているうちに、家の中でうろうろしとったけん、そんときに忘れたと。家の中にあるはず。(涙顔)」
「もう、お父さん、仕事にいかんと遅くなるけん、諦めりぃ。」
と言い渡し、一旦学校を出るが、車の中で「家の中でうろうろしとったけん……」という言葉が再び私の頭によぎった時、ピンと来る。再び家に戻って長女のうろうろしそうな場所をたどって、ようやく見つけた。長女が私に伝えた場所とはぜんぜん違う場所だった。
見つけた時、私は笑っていた。
「血は争えない。」
そう思った。
しかし、私のように苦労しないよう、なんとかこの癖が直るようにしてあげたいとも思った。
「今日、迷惑をかけた人は誰と誰?」
「どこにあったか当ててみてん。」
「自分はどんな癖があると思う?」
「今日みたいな失敗が起きないような予防策って何かな〜?」
その夜、一緒に風呂に入りながら、自分に言い聞かせるように長女と振り返りをするのであった。
親自身も成長すること。それが子育ての秘訣だ。