福岡県学童保育研究集会2 _ My Life


「チョコより“ここ”〜バレンタインデーの贈り物」
ホームレス中学生」や「陰日向に咲く」の人気に迫る勢いです!(http://d.hatena.ne.jp/kab-log/20080205

ここ―食卓から始まる生教育

ここ―食卓から始まる生教育


正午過ぎ 学生たちと分科会会場へ移動。そこでトラブル発生。朝準備した会場が、実は別の分科会の会場だったことが判明。会場案内のチラシに書かれていた情報の一部が間違っており、私が、その間違った情報を受け取ってしまったのだ。


せっかくのお弁当の日なのだが、分科会会場の準備のことが気になり、気もそぞろになってしまう。いろんな思いのこもった学生たちのおかずと内田先生のお弁当を一通り口にし、そそくさと会場を移動する。


午後1時 案の定、会場の準備は不完全。会場係それぞれに指示を出し、自分はパソコンのセッテイングに専念する。保護者スタッフや藤田指導員が積極的に動いてくださり、何とか間に合う。去年より遥かに多い会場スタッフの数のパワーのおかげだ。大変有り難い。


午後1時半 予定どおりにスタート。会場は100名近い参加者でほぼ埋まる。私の運営した分科会では過去最高の参加者数だ。会場がワークショップ向けでないことをお詫びし、去年ちゃんと出来なかったスタッフ紹介を完璧にやり、手短にオリエンテーションを済ませる。


【アイスブレイク_超大人の自分探しプロローグバージョン】
Q1 こんなとき、私、幸せを感じます。幸せの条件10カ条。
Q2 私の身近に居る尊敬する人一人とその理由


参加者たちの多様な価値観を掘り起こしながらの自己紹介を兼ねる。Q1には、人の利己的な側面を掘り起こすことにより、プログラム中盤以降の利他的価値観の掘り起こしの伏線とするという目的がある。Q2には、共同の子育てにおいて、大人自身を成長させてくれる身近な人の存在が大切であることを意識してもらうというねらいがある。


「主人がゴミ捨てに行ってくれた時」「家で飼っている金魚をじ〜っと眺めている時」など、ユニークな回答を紹介すると会場にかすかな笑いが湧く。「10個の幸せをあげることってなかなかたいへんだったでしょう?子どもをもつ親だと、最初の方は、だいたい子どものことをあげる方が多いのですが、後の方になると、だんだん自己中心的な欲求になるんですヨ。」とコメントすると、ドッと笑いが起こる。そんな笑いに私の緊張も解され、私は波に乗った。


【ワーク1_私の子どもの学童保育
Q3 あなたの学童保育ですばらしいところは何ですか?学童保育にどんなことを望みますか?
【ワーク2_子どもたちの放課後から見えてくるもの】
西日本新聞連載記事“ただいま〜放課後の居場所”を読んで考える、
と続く。


ワーク1で参加者にインタビューすると、多くの学童保育が直面している大規模化問題がクローズアップされ、
ワーク2では、あいさつができない親の問題や子育施策における子どものニーズに対する配慮の欠如など、参加者の意識は、大人の視点から子どもの視点へ、すなわち、利己的視点から利他的視点へと流れていった。予想した流れでの時間どおりの展開だ。


午後3時 プログラム後半。


“子どものニーズ”というキーワードを受けて、
【ワーク3_共同の子育てを考える】へ。
Q4 我が子にどんな大人・親になってほしいですか?
ここでは、保護者のコメントはそこそこに、あえて学生たちに振る。大人たちに刺激を与えるために。


Mりん「私自身は、基本的には今のお母さんとお父さんと足して二で割ったような親。そこに今までに出会ってきた素敵な大人たちのエッセンスを加えていきたい。」
私「お父さんとお母さん好きですか?」
Mりん「はい。今でもハグします。」
会場「おぉ〜〜っ!」
Aめぐ「まだ子どもがいないので漠然としているかもしれませんが、私自身は『自分のようになって欲しい』と胸を張って言えるお母さんになれるように頑張ります。」
会場「おぉ〜〜っ!」


十分すぎるほどの刺激を受けた保護者や指導員たちに、Aめぐさん朗読による“竹下先生の贈る言葉”を聞かせる。会場はそれまでの和気藹々とした雰囲気とはうってかわり、真剣な雰囲気に包まれた。私は、竹下先生が自身の著書に示された、子どもの健全な成長に必要な「まなび、あそび、くらし」の時間の質とバランスや、教員へのメッセージを引用しながら、学童保育における“共同の子育て”に対する私個人の理念を解説した。


午後3時半 【内田先生による補講_共同の子育てを考える】


PCとプロジェクターとの接続トラブルを会場スタッフの素早い気転で凌ぐ。「子は育てたように育つ」と、とても大切で重いメッセージが先生より伝えられる。食事中にテレビを見ない、携帯電話を操作しない、めんどくさい、忙しいなど言い訳を考えない、……など、子どもたちにとって“かっこいい大人”になるための条件が次々と出される。


そして、私も初めて見る「子どもたちの心の声のスライドショー。」


傷つきながらも懸命に生きようとする子どもたちのメッセージに心打たれ、私も号泣。脱ぎ捨てた上着から慌ててハンカチを取り出し、涙を拭う。


内田先生「比良松先生、大丈夫ですか?」
会場「(笑)」
私「今日は、午前も午後も泣かされてしまいました。」


感動のクライマックスは、午前中講演では封印して頂いた、大学生弁当の日スライドショー。


試験中、卒論作成中にもかかわらず、大学生たちがボランティアで駆けつけてくれたことを紹介し、彼らが魚戸おさむ先生の「玄米先生の弁当箱」に登場予定であることも紹介する(西日本新聞社発行予定の弁当本の紹介を忘れたのは私のチョンボ)。


午後4時15分 【ふりかえり_超大人の自分探しエピローグバージョン】
内田先生からのプレゼントとして、可愛らしい名刺カードを一人ずつ配り、次のことを書き込んでもらった。
Q5 子どもたちのキラキラ輝く笑顔のために私が今日から必ず出来るコト(3つ)
記入したカードをパスホルダーや財布に入れて、大切に持ち歩き、時々取り出しては自分の行動を振り返ってほしいと伝える。


午後4時半 ラストに「ここ」の紹介。


「内田先生と私の友人である佐藤剛史先生が書いたこの本が、今、大変なことになっています。大型書店である双葉書店の文芸書人気ランキングのベスト5なんです。1位があの“ホームレス中学生”で、4位が“陰日向に咲く”ですよ。
もうすぐバレンタインデーですけれど、大切な人には是非この本を贈ってください。いいですか、チョコより“ここ”です!!」


と、午前中の鬱憤を晴らすがごとく、私は叫んで分科会を終了させた。


午後9時45分 内田先生にお礼のメールを送信し終えたところで、私のエネルギーは完全に途絶えた。


運営協力してくださった方や参加してくださった方へ大感謝。