子育て講演 in 春日市

  1. 参加者に「感動」してもらうこと。
  2. 毎回、なにかひとつ「挑戦」をすること。


講演を依頼されるようになって一番気を配っているのがこの二つ。


「感動」にこだわるのは、感動が行動と恊働の原動力になると実感しているから。
「挑戦」にこだわるのは、挑戦することによって少しずつ話の引出しを増やすことができ、その結果として、自分自身の成長につながっていくから。


さて本日は、大野城市で今年度から学童保育の委託を受けているワーカーズコープの職員と保護者、約100名を対象とした食育講演。ちょうど一年前、内田先生、kab_logさん、ソフトバンクホークス松中選手婦人の林恵子さんが子育て講演会でコラボした壇上(春日クローバーホール)に自分が居る。そんなことになるなんてあの時は想像さえしていなかった。人生とは不思議なものである。


……で、今回の挑戦はというと、私の専門である“植物”でつかみを語ること。そこから依頼者にお願いされた食の話へと展開する。一貫するキーワードは「持ちつ持たれつ」。


まず、綺麗な花のスライドを見せながら会場のみなさんへ質問。
私「花はなんのために咲くんですか?」
参加者A「実をつけるため。」
私「その実の中には何がありますか?」
参加者B「タネ(種子)。」
私「えぇ、タネ。すなわち子孫です。花は次の世代へとリレーするために花を咲かせます。ところが、花を咲かせるには、たいへんエネルギーが必要なんです。植物の生活の中で蓄えたエネルギ−を一番使うんです。だって、光合成で稼いだ大切な蓄えで蜜や花粉という高カロリーの糖やタンパクを作るんですから。では、なぜ、そんなにまでして花を咲かせる必要があるんでしょう?」
参加者C「虫に来てもらうため。虫に来てもらって受粉してもらうため。」
私「ですよね。例えば、このような下向きの釣り鐘状の花にはマルハナバチというとっても働きものの蜂が来てくれます。じゃあこの花には何が来るでしょう?(花と送粉者の強い結びつきの例を紹介していく)。このように、自分で動くことができない植物は、受粉という子孫を残す作業を成し遂げるために様々な形や色の花を進化させ、自分の代わりに動いて受粉を手伝ってくれる様々なパートナーとの関係を進化させてきました。


それは一言で言うと「持ちつ持たれつ」の関係です。


植物はたいへんなエネルギーをかけて蜜や花粉、つまり“ご飯”をパートナーである送粉者に提供する代わりに、受粉を手伝ってもらう。送粉者は受粉を手伝う代わりに、自分や子孫が生きていくためのご飯を頂く。互いに相手に喜んでもらいながら支え合う関係を保っているのです。


地球上のありとあらゆる生き物はこうした持ちつ持たれつの関係なくしては生きれません。他の誰にも頼らずに生きている完璧な生き物は居ないということです。それが生き物の宿命です。今日はそんな視点から食のお話をしたいと思います。」


その後、二足歩行と一家団欒の並行進化へと話しを移し、縦に繋がらない食育の実態、いのちいただきます〜坂本さんとミーちゃん、弁当の日で育まれる持ちつ持たれつ、と展開。締めは、今もなお進化しつづけ、今回でサードバージョンとなるスライドショー。


「忘れられないあの時の、あの食事、あの弁当」


講演終了後、用意した弁当の日応援団員の著書を買い求める参加者が多数。ついでに置かせてもらった講演内容とは無関係の宗像エコバッグを買い求める方々も。これまでに経験したことのない予想以上の売上げに私自身が戸惑ってしまうほどだった。


そして「良いお話をありがとうございました」、「感動しました」、「結婚式のときの子どもからのメッセージのようなあの作文に泣かされました」と声をかけてくださる方々。こうした参加者の反応が私にとって何よりもの癒しと励みである。


後日送られてくる予定の感想分と作文が待ち遠しい。